研究成果


岡村陽介教授は、自然科学研究機構生命創成探究センター/⽣理学研究所、東京理科大学、東海大学の共同研究にて、高分子ナノ薄膜と光硬化性樹脂を用いた透明な素材で頭蓋骨を代替する手法(NIRE法)を開発し、マウスの大脳皮質から小脳までの頭頂部広域の神経細胞を6ヶ月以上の長期間に渡って二光子励起顕微鏡法で観察することに世界で初めて成功しました。開発された手法により、生きた動物の大脳皮質から小脳までの多数の神経細胞を長期間観察できるようになるため、複数の脳領域の協調的な活動が関与する高次脳機能の解明につながることが期待されます。
掲載誌 Communications Biology
タイトル  Large-scale cranial window for in vivo mouse brain imaging utilizing fluoropolymer nanosheet and light-curable resin
https://doi.org/10.1038/s42003-024-05865-8
プレスリリース記事 共同発表:生きた動物の大脳皮質から小脳までを高精細かつ長期的に光イメージングできる手法を開発~高分子ナノ薄膜と光硬化性樹脂による超広範囲な観察窓~ (jst.go.jp)


木村啓志教授は、東海大学、東京大学、東京工業大学、金沢大学、住友ベークライト株式会社、三井化学株式会社、株式会社フェニックスバイオらによる研究グループにて、動物試験に代わる新たなヒト臓器細胞培養システム(マイクロフィジオロジカルシステム、MPS)を用い、肝臓機能の向上における小腸と肝臓の臓器クロストークメカニズムを明らかにしました。
掲載誌 PNAS Nexus
タイトル Gut-Liver Microphysiological Systems Revealed Potential Crosstalk Mechanism Modulating Drug Metabolism
https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgae070
プレスリリース記事 二臓器灌流MPSデバイスによる小腸・肝の新たな臓器連関メカニズム可能性の発見|プレスリリース | UTokyo-Eng (u-tokyo.ac.jp)


関根嘉香教授とAIREX株式会社の笈川大介氏らの研究グループは、自身の体臭が周囲の人たちに咳やくしゃみなどのアレルギーに似た症状を引き起こすと訴える「People Allergic To Me(私に対するアレルギー)」(以下、PATM)の患者20人の皮膚ガスを測定・分析した結果、体表面から人工化学物質や硫黄化合物、不安効果を与える成分などが多く放散されていることを突き止め、その皮膚ガス組成には共通の特徴があることを明らかにしました。
掲載誌 Scientific Reports
タイトル Human skin gas profile of individuals with the people allergic to me phenomenon
https://doi.org/10.1038/s41598-023-36615-1
プレスリリース(本記事) https://research-er.jp/articles/view/124044


中川草准教授らは、大阪大学微生物病研究所分子ウイルス分野の渡辺登喜子教授らとの共同研究で、新型コロナウイルスの nsp14*1 遺伝子の変異はゲノム多様性を向上させる可能性があることをデータ解析とウイルス実験で解明しました。
掲載誌 iScience (オンライン版)
タイトル Genomic diversity of SARS-CoV-2 can be accelerated by mutations in the nsp14 gene. https://doi.org/10.1016/j.isci.2023.106210
プレスリリース(本記事) https://research-er.jp/articles/view/120421
プレスリリース(中川草) https://research-er.jp/researchers/view/246884/articles 


福田篤講師らの研究グループは、国立成育医療研究センター研究所 再生医療センターとの共同研究で、女性由来多能性幹細胞(ES細胞:胚性幹細胞/iPS細胞:人工多能性幹細胞)において不可逆的に失われたX染色体不活化の再獲得化に成功しました。 ~女性特有のがんや自己免疫疾患のメカニズム解明に光明~
掲載誌 Cell Reports Methods (オンライン版)
タイトル De-erosion of X-chromosome dosage compensation by editing of XIST regulatory regions restores differentiation potential in hPSCs. https://doi.org/10.1016/j.crmeth.2022.100352
プレスリリース(本記事) https://research-er.jp/articles/view/116892
プレスリリース(福田篤) https://research-er.jp/researchers/view/247471/articles


中川草准教授は、北海道大学、東京大学、東海大学、京都大学、広島大学、熊本大学、宮崎大学、公衆衛生研究所、ウィスコンシン大学らの共同研究グループにおいて、新型コロナウイルスの「懸念される変異株(VOC:variant of concern)」のひとつである「デルタ株(B.1.617.2 系統)」が、従来株に比べて病原性が高いことを明らかにしました。また、デルタ株のスパイクタンパク質の細胞融合活性は、従来株や他の変異株に比べて顕著に高く、その活性は、スパイクタンパク質の P681R 変異によって担われていることを明らかにしました
掲載誌 Nature 
タイトル Enhanced fusogenicity and pathogenicity of SARS-CoV-2 Delta P681R mutation. https://doi.org/10.1038/s41586-021-04266-9
プレスリリース https://research-er.jp/articles/view/105274


大友麻子講師、 岡村陽介教授らのグループは(共に東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター兼任)、東京工業大学、早稲田大学との共同研究で、立体的な微細溝加工を施した高分子超薄膜(ナノシート)を培養基材として用いることで、培養神経細胞の均一性を担保するとともに、神経細胞の分化が促進されることを見い出しました。
掲載誌 Scientific Reports
タイトル Efficient differentiation and polarization of primary cultured neurons on poly(lactic acid) scaffolds with microgrooved structures. https://doi.org/10.1038/s41598-020-63537-z 
プレスリリース(本記事) https://research-er.jp/articles/view/88308


2022年 論文リスト

2021年 論文リスト  

トップへ戻る