日時:2021年5月15日(土)10時〜16時 入場無料(オンライン配信有)
開催場所:東海大学湘南校舎12号館1階/MNTCコミュニケーションスペース(入場制限あり)
連絡先:0463-58-1211(代) 内線4902 東海大学文明研究所
日時:2021年5月15日(土)10時〜16時 入場無料(オンライン配信有)
開催場所:東海大学湘南校舎12号館1階/MNTCコミュニケーションスペース(入場制限あり)
連絡先:0463-58-1211(代) 内線4902 東海大学文明研究所
総合医学研究所が3月5日に伊勢原キャンパスで、「第24回公開研究報告会」を開催しました。この報告会は、本研究所の所員が1年間の研究成果を共有するために毎年同時期に実施しているものです。(中略)本研究所は、基礎医学研究の成果を新技術の開発や臨床に生かし、総合的な医学の発展に寄与することを目的として1980年に創設。国内外から注目される多くの研究成果を発表しています。現在は、本学医学部の教員を兼務する研究者ら19名の所員が中心となって、生命科学統合支援センターの技術職員や先進生命科学研究所、マイクロ・ナノ研究開発センターの研究者らとも協働し、「再生医学」「ゲノム医学」「創薬」「血液・腫瘍学」「肝臓・腎臓病学」の5部門に関する研究に従事。学内の医学・生命科学・理工学系学部や研究機関との連携を推進するとともに若手研究者を育成し、医科学研究のさらなる活性化を図っています。(つづく)
(マイクロ・ナノ研究開発センターからは以下の所員が発表しました。)
◇中川 草【ゲノム解析研究部門】(基礎医学系分子生命科学講師/特別研究所員)
「統合トランスポゾンデータベースを活用した癌トランスクリプトーム解析」
この記事は東海大学Webサイトより紹介されました。
総合科学技術研究所では3月2日にオンラインで、「飛翔体の流れに関する研究報告会」を開催しました。(中略) 開会にあたり稲津敏行副学長(理系担当)が、「研究は領域ごとに区切れるものではなく、融合が重要な世界です。学部学科をこえた研究所における活動がより重要であり、今後いっそう期待されると思います。本学では14の研究所を設けており、研究所が主体となって研究を行える環境整備を進めています。総科研でもより活発な研究活動が展開されることを期待します」とあいさつしました。 (中略) 流体シミュレーションの研究開発と工学的な応用について研究する福田紘大准教授は、「ラグランジュ型乱流解析手法の開発」をテーマに講演。従来の手法との比較や、空間解像度を解析前に定量的に規定できるメリットなどを説明しました。(つづく)
この記事は東海大学Webサイトより紹介されました。
P04 谷神 絃太さん (工学研究科応用理化学専攻)
P15 高橋 学さん (理学研究科物理学専攻)
P23 石井 海人夢さん (理学研究科化学専攻)
P29 納富 拓真さん (工学研究科応用理化学専攻)
P49 南原 直紀さん (理学研究科物理学専攻)
P56 大内 桃花さん (生物学部海洋生物科学科)
写真は東海大学公式Webサイトから抜粋
東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tµne)の第13回学術講演会を、2月27日にオンラインで開催しました。総合大学である本学の強みを生かし、幅広い分野の研究者が互いの研究への理解を深め、学内外との共同研究につなげることを目的にマイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)の所属教員が中心となって年2回程度開いているものです。例年は参加者が一つの会場に集まって開催してきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて初めてオンラインで実施。医学部・理学部・工学部・生物学部・国際文化学部・農学部など全国のキャンパスから150名をこえる教員と学生が参加しました。(つづく)
この記事は東海大学Webより紹介されました。
日時: 2月19日(金)15:00~17:00 会場: ハイブリッド形式 [オンキャンパス] 東海大学湘南校舎12号館1階 マイクロ・ナノ研究センター コミュニケーションエリア [オンライン] Zoom meeting 参加をご希望される方はMNTC志賀までご連絡ください。 mntc@tsc.u-tokai.ac.jp
2021年02月10日
研究推進部が昨年12月12日にオンラインで開催した「2020年度研究交流会“Withコロナにおける新たな研究活動の創出”」における「テーマ別研究発表」と「Research ART」の各賞受賞者が決定しました。研究交流会は、総合大学の強みを生かし、理工系や文系、医学系など幅広い分野の研究者による共同研究の促進などを目的として、2015年度から開催しています。(中略)
◇テーマ別研究発表
【優秀賞】
文化社会学部アジア学科 山花京子准教授
テーマ:クラウドファンディングに挑戦してみたい研究
演題:「トト神を救え! 古代エジプトの神像修復プロジェクト」
この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
2021年01月29日
産官学連携センターは、2021年2月15日(月)から2月26日(金)にオンラインにて開催される「テクニカルショウヨコハマ2021」に出展します。
この展示会は、神奈川県下最大級の工業技術・製品に関する総合見本市として、独創性・先進性に富んだ最新の技術・製品や研究成果を発信することを目的に開催されます。例年はパシフィコ横浜にて開催されていた本展示会ですが、今年は新型コロナウイルス感染症の状況を考慮し、オンラインでの開催となりました。本学からは、4件の研究シーズを出展いたします。
開催概要
【公開期間】
2021年2月15日(月)から2月26日(金) (閲覧無料)
【テクニカルショウヨコハマ2021公式ホームページ】
https://www.tech-yokohama.jp/2021/
(中略)
●酸化チタンとヨウ化銅の透明半導体膜の開発
理学部 化学科 冨田 恒之 准教授
独自のチタン原料を用いることで、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型、ブロンズ型の4種類の結晶構造の二酸化チタンナノ粒子を単相で作る技術を確立しました。これらのナノ粒子を用いたn型、p型の透明半導体膜を作製し、太陽電池の輸送層への応用を進めています。
紹介ページ:https://www.tech-yokohama.jp/2021/exhibitor/210214/
※出展者セミナー参加予定(10分動画の配信・会期中のみ閲覧可能)セミナーURLは紹介ページからリンクでアクセス可能です。
【主催】公益財団法人神奈川産業振興センター、一般社団法人横浜市工業会連合会、神奈川県、横浜市(順不同)
この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
東海大学マイクロ・ナノ啓発会【Tokai University Micro/Nano Enlightenment (Tµne)】は、東海大学の総合大学のメリットを生かした研究の情報交換やコラボレーションを目指して学術講演会を開催いたします。
第13回は、コロナ禍で希薄になってしまった研究者・学生間交流の活性化を目的として、オーラルセッション、および各研分野で展開されている研究の成果を発表するポスターセッションで相互理解を深めます。
日 時 2021年2月27日(土) 13:00~18:10
場 所 Web開催(Zoom + Remo)
参加費 無料
参加登録
登録期間:2021年1月25日(月) ~ 2021年2月15日(月)
ポスター演題&予稿登録
登録期間:2021年1月25日(月) ~ 2021年2月15日(月)
[発表にあたって]
発表形式:ポスターセッションの発表者にライトニングトーク(90秒間)での発表もお願いします。ポスターセッションは、バーチャル会議ツール「Remo」を使って、2時間程度を予定しています。
※ライトニングトークにつきまして、ポスター発表の応募者数が多数の場合には、予稿にて事前審査する場合があります。
ポスターサイズ:Remoで掲示可能なもの(追ってHP上でマニュアルを公開します。)
その他:
・専門分野以外の人にも分かりやすい発表を心がけ、学生が発表者の場合は、所属学部学科・指導教員・学年を明記してください。
・本講演会は分野横断な学術交流を目的としていますので、過去に発表した内容を含んでいても構いません。
・特に優れた発表については「Tμneポスター賞」として表彰させていただきます。
主 催: 東海大学マイクロ・ナノ啓発会 共 催: 東海大学生物学部,東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター
問合せ先: 東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 志賀(0463-58-1211 内線4790, E-mail: mntc@tsc.u-tokai.ac.jp)
2020年12月17日
本シンポジウムは、福田特任講師の研究テーマの一つである「ヒト多能性幹細胞」に注目し、再生医療や創薬に不可欠なiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)を用いた最新の研究成果を共有するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、今後の医学研究の方向性や本学の強みである異分野融合を生かした医学研究の展望について議論するために開いたものです。当日は、福田特任講師がモデレーターを務め、関連分野の研究者6名による講演とパネルディスカッションを実施。WEBビデオ会議システム「Zoom」を活用し、教職員や学生、大学院生ら約60名が参加しました。(続き)この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
2020年12月16日
2020年12月11日
医学部医学科の研究者で構成される総合医学研究所は、本学における医科学先端研究の中核拠点として、「ゲノム」「再生医療」「創薬」における基礎・応用研究を一体化させたトランスレーショナルリサーチを推進しています。マイクロ・ナノ研究開発センターは、工学部や理学部、医学部、健康学部などの研究者らが、「マテリアル」「エンジニアリング」「メディカル」「ヘルスケア」「アート・サイエンス」の5つのチームを編成し、異分野の融合と連携を図りながら独創的な研究を進めており、両機関の研究者は多くの共同研究を展開しています。(続き)
2020年12月11日
マイクロ・ナノ研究開発センターに所属する研究者が、11月23日にオンラインで開催された一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ主催のシンポジウム「ナノテクの医療応用」で講演しました。同団体は、医学系と工学系の学会の連携により医療現場とものづくり現場とを融合するプラットフォームの形成を目的として2009年に設立され、各種講演会やシンポジウムの開催、大学と企業などとのマッチングに取り組んでいます。今回は、コンピューター外科学会大会の「特別シンポジウム」として実施されたもので、谷下一夫理事長(日本医工ものづくりコモンズ)と本センターの喜多理王所長が座長を務め、岡村陽介准教授(工学部応用化学科)と樺山一哉准教授(大阪大学理学研究科化学専攻)、木村啓志准教授(工学部機械工学科)が講演しました。
最初に喜多所長が、本センター設立の経緯や産学連携による活動の成果を説明。ニコンインステックとの協力によりイメージング研究センターの設立が実現し、岡村准教授を中心としてセンターで培った高分子ナノ薄膜の技術をもとにして大学発ベンチャーである株式会社チューンを設立したことなどを紹介しました。続いて岡村准教授が、高分子ナノ薄膜研究の現状を解説。さまざまな厚さの膜を短時間で作成できる技術や接着剤を使わなくても肌などに密着するという特性を生かし、傷口のラッピングや骨の再生促進への応用に向けた研究を続けているほか、顕微鏡観察時のカバーガラスの代わりに使うことで従来不可能だった生体組織の長時間観察を可能にしているといった成果を説明しました。(続き)
この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
2020年12月10日
NHKオンデマンド放送番組に本学医学部の中川先生らが本学マイクロ・ナノ研究開発センターを舞台に出演されています。NHKワールドJAPANの一部の番組は国内でも放送しています。現在視聴できる動画は以下URLをクリックすると、英語の番組ページに移動します。ぜひ、ご覧ください。この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
■NHKワールドJAPAN
Decoding the Coronavirus Genome – Science View | NHK WORLD-JAPAN On Demand
日時: 2020年12月9日(水)12:30-13:00/18:30-19:00
ライブ配信にて https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/scienceview/20201209/2015248/
15:00 ~ 18:00 Online (Zoom)
参加申込(事前登録制)
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_BSoYBtmnSi6IGQxhZzgwPQ
2020年11月19日
工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻の福田紘大准教授と福田研究室に所属する武藤創さん(大学院工学研究科1年次生)がこのほど、湘南キャンパスのもっとも広い教室である2号館大ホール(2S-101室)の換気状況を解析しました。本学では新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて春学期はすべて遠隔での授業としましたが、今秋学期では対面形式の授業も再開することから、山田清志学長のリーダーシップのもと大学運営本部と教学部が安心・安全に授業を受けられる環境づくりにつなげようと計画したものです。本学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチーム監督を務めるとともに、マシンの空力開発などを担当してきた福田准教授と、昨年度までソーラーカーチームの学生リーダーを務め福田研究室に所属する武藤さんが解析を担当しました。
福田准教授と武藤さんは、解析に先立って大ホールの換気能力を確認。空調設備の吸込と吸出性能のデータの取得やホールをCADモデルで再現するなどの準備に取り組みました。解析作業では、ソーラーカーチームにおける空力解析でもサポートを受けている株式会社ソフトウェアクレイドルの流体解析ソフトウェアを活用しつつ福田研究室の高速演算サーバーで解析を進めていきました。「解析規模の制約があるため、時間変化は再現しない”定常”での解析としましたが、大まかな空気の流れの把握は十分に可能です。そのうえで、室内に空気を送り込むファンと流出させるファンの配置や台数を検討し、さらに家庭用扇風機を配置した場合など複数パターンでの解析を進めました」と福田准教授は語ります。(続き)
この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
2020年09月14日
玉田さんは、新素材メソポーラスシリカの加工法を研究しています。この素材は、数㎚から数十㎚の孔が規則的に並んだ構造を持っている半透明の物質で、表面積が大きく、吸着性が高いことから化学反応を促進する触媒や汚染物質の吸着物質として期待されています。その一方で、効果的に大量生産できる加工法が見つかっていない欠点がありました。玉田さんは、さまざまな厚さのものを大量生産できるロール・ツー・ロール生産方式(R2R法)を使って薄膜を作製する手法を提案。膜の厚さや細孔の大きさを制御できることを明らかにし、より幅広い分野に応用できる可能性を示しました。一方西田さんは、R2R法を用いて長い製品を作る際にロールの中心部付近で起きている現象について研究。本学の橋本巨名誉教授らが培ってきた成果をもとに、芯の近くでシワやゆがみなどのトラブルが生じてしまう理由を従来よりも正確に解析する手法を提案しました。
玉田さんは、「東海大で長年研究されてきたR2R法の新しい可能性を示せたことをなによりうれしく思います。この手法を用いれば、コンパクトかつ簡便に製造することができるため、メソポーラスシリカの応用の可能性もさらに高まると期待しています。また個人的には、実験や考察が期待通りに進まなかった時もあきらめずに続けてきたことが成果につながりました。大学院修了後は企業で研究に従事するため、これからもさまざまな素材が持つ新たな可能性を拓き、社会に貢献したい」と語っています。西田さんは、「研究室では企業との共同研究も多く、常に高い緊張感をもって取り組む中で、人間的にも成長できたと感じています。特に大学院に進学してからは、後輩の指導にもあたりながら研究チームをマネジメントする経験も積むことができました。この経験は社会人になるにあたっても大きな財産になると考えています」と話しています。
開催場所:東京大学総合研究博物館、小石川分館
開催期間:2020. 9/24 (木) – 11/29(日)
10:00~16:30(入館は16:00まで)
月・火・水曜日休館(祝日の場合は開館)
入館無料
2020年09月11日
2020年08月18日
工学部精密工学科の窪田紘明講師と吉田一也教授、吉田教授の研究室卒業生のトリスナ・アルディ・ウィラルディナタさん(大学院工学研究科機械工学専攻2020年度修了)、ウラディミール・フリフトフ(大学院総合理工学研究科総合理工学専攻2020年度修了)がこのほど、国際線材製品学会の最優秀論文賞と優秀論文賞を受賞しました。同学会は、世界で線材分野において最も権威のある学会です。論文賞は2019年度同学会で発表された数百の論文が対象で、約60名の選考委員によって「鉄鋼」「非鉄」「電線」「総合・一般」の各部門で最優秀賞と優秀賞が1件ずつ選ばれます。東海大学の3論文が表彰を受けました。
窪田講師と吉田教授は、昨秋イタリアで開催された同学会で論文発表し、今年1月にジャーナルに掲載された研究論文で「電線部門」の最優秀論文賞を受賞しました。受賞研究は、軽量化のため自動車電線(ワイヤーハーネス)を銅線からアルミ線に代替することを可能にする加工技術です。
大学院生のウィラルディナタさんは、「非鉄部門」の最優秀賞を受賞。新幹線、航空機などにも使われる高強度アルミを液体窒素に浸した状態で引抜き加工する特殊技術に関する成果が評価されました。同部門では、フリフトフさんも医療用のステントやネジに利用されるマグネシウム合金線の化学組成が引抜加工性と線材の機械的性質に与える影響を考察した成果で優秀賞を受賞しました。
窪田講師は、「材料の加工技術は、さまざまな製品の性能向上や材料の応用可能性を広げられる面白い分野です。今後も引抜き加工技術やプレス成形技術など複数の技術を融合させながら加工技術の可能性を広げていきたい」と語っています。また吉田教授は、「線材加工分野の研究は欧米諸国の追い上げが激しく、日本の大学の受賞は年々難しくなっていますが、学生たちが努力を続けてくれたことが受賞につながりました。東海大学の研究は、質の高さのほか独創性の面から高く評価されています。今後もこの伝統を生かし、一人でも多くの学生・院生が達成感を味わえるよう、研究室を盛り上げていきたい」と話しています。
この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
2020年7月8日
工学部精密工学科の槌谷和義教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)らの研究グループが展開する研究プロジェクト「Design and Development of Self Powered Selective Collection of Rare earth Elements from Sea Water(海水からの希土類元素選択分離ポンプの設計と開発)」がこのほど、日本学術振興会の「二国間交流事業 共同研究・セミナー」に採択されました(採択期間=2年間)。同事業は、日本の大学等に所属する優れた研究者が相手国の研究者と協力して行う共同研究・セミナーの実施に要する費用が支援されるものです。今回のプロジェクトでは、インド・サストラ大学とインド情報技術大学(IIIDTM)の研究者と連携。本学からは、槌谷教授のほか、海洋学部航海工学科航海学専攻の高嶋恭子准教授、マイクロ・ナノ研究開発センターのガネシュ・マニ特定研究員が参加しています。日本は世界第9位の排他的経済水域を有する海洋大国であることから、域内の海底からレアアースなどの資源を採取する技術の研究が古くから行われていますが、商用化には至っていません。一方、近年の研究で海水中にも多くのレアアースが溶け込んでいることが明らかになっています。本研究プロジェクトでは海水からレアアースを取り出す新技術を開発するとともに、さまざまな場所や深さの海水中の資源濃度をマッピングすることで、より効率的に資源を採取する手法の開発を目指します。(続き)
この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
2020年06月23日
工学部精密工学科の窪田紘明講師が開発に協力した、STEM教育向け知育玩具「からくりのタネ」が5月29日に銀鳥産業株式会社から発売されました。STEM教育は、AI時代を生き抜く理系人材を育てる新しい教育プログラムとして世界各地で取り入れられているものです。科学・技術・工学・数学について遊びを交えて総合的に学び、自ら新しい価値を生み出す力を培うことが主な目的で、日本でも今年度から小学校でプログラミングの授業が必修となり、各地でロボット教室が開講されるなど、注目を集めています。「からくりのタネ」は、小さな子どもが工学に触れ、楽しさや驚きを体験できるキットとして企画されました。
窪田講師は、金属材料の加工技術を扱う「塑性加工学」や加工時に材料にかかる力をあつかう「弾塑性力学」が専門で、本学科ではロボットや工作機械・エンジンなどの動作をつかさどるさまざまな機構の理論やメカニズムを学ぶ「精密メカニズム」の授業を担当しています。今回の商品では、子ども向けの知育商材や文具を取り扱っている銀鳥産業株式会社が企画・設計・販売を担当。窪田講師は、授業で教えている内容をもとに学術助言を行い、商品で取り上げられた「カム機構」と「クランク機構」の動作の解説や社会で使われている事例の紹介などを担当しました。
商品は、機械工学の分野で多く用いられる「カム機構」「カム機構+スライダ・てこ機構」「揺動スライダ・クランク機構」「往復スライダ・クランク機構」「てこ・クランク(4節回転リンク機構)」の5種類が用意されています。いずれも厚紙でできており、子どもたちがパーツを組み立てて動かすことで、各機構の基本構造や動作を学べるようになっているほか、複数の種類を組み合わせて遊ぶこともできるようになっています。
窪田講師は、「『精密メカニズム』の授業で学生に教授している内容を何らかの形で社会に還元できないかと以前から思っていたので、こうした機会に恵まれてうれしく思います。幼少期にこうした玩具で遊んだ経験をしているだけでも、大学などで専門的に工学を学ぶ際にも理解しやすくなることが分かっており、将来の工学を担う人材の育成に貢献できればうれしい。また、最新のIT技術を活用して新しい商品を開発する際にも、背景にある現象を実体験として理解しておけば、より幅広く応用できるようにもなると考えています。ものづくりの教育・基礎研究は、実際のものづくりにつながっていくことも重要です。今後も産業界とのつながりを大切にしながら,その面白さを未来の産業界を担う人たちに伝え、盛り上げて行きたい」と話しています。
【からくりのタネ ホームページ】
http://www.gincho.co.jp/information/automata/
この記事は東海大学公式ウェブサイトで紹介されています。
科学新聞 5月15日「培養神経細胞の均一性保ち神経細胞分化を安定的誘導」
日経産業新聞 5月14日4ページ「細胞培養用ナノシート開発」
この記事は4月21日に東海大学公式ウェブサイトで紹介されました。
多くの人は新型コロナウイルスを「ちょっと重いインフルエンザ」とイメージしているようだが間違いだ。実は致死率9・6%の「重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス」と同じコロナウイルスで、遺伝子もかなり似ている。どのくらいか? 国立遺伝学研究所博士研究員、ハーバード大学客員研究員などを経て東海大学医学部分子生命科学講師を務める中川草・理学博士に聞いた。
「それぞれのウイルスを構成する遺伝子の類似度はおよそ7~9割です。ただし、新型コロナウイルスはSARSウイルスが進化したものではありません。両者は共通する祖先から分岐して別々に進化したウイルスで、親戚のような存在です。お互いを比較して類似度が最も低い遺伝子のひとつがS遺伝子です」
ウイルスの突起を形成しているスパイクタンパク質(Sタンパク質)には、感染先の細胞の表面にある受容体と結合してウイルス外膜と細胞膜の融合を媒介する役割がある。S遺伝子はそのSタンパク質の性格を決めて、それを忠実につくり出す設計図が書かれている。
(続きは日刊ゲンダイ公式ウェブサイトへ)
医学部医学科基礎医学系分子生命科学の大友麻子助教と中川草講師、上田真保子奨励研究員(いずれもマイクロ・ナノ研究開発センター兼務)らが、溝加工を施した高分子超薄膜を使って神経細胞を培養する新たな手法を提案。その成果をまとめた論文「Efficient differentiation and polarization of primary cultured neurons on poly(lactic acid) scaffolds with microgrooved structures」が、学術雑誌『Scientific Reports』印刷版に掲載されました。
超高齢社会を迎え、国内では加齢に伴って発症リスクが高まるアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の患者が増えていますが、効果的な治療法が見つかっていないのが現状です。こうした疾病のメカニズムを解明し、薬剤を開発するためには人工的に培養した神経細胞が用いられていますが、培養神経細胞は実験ごとに状態がばらつきやすく、均一な条件での研究や、薬剤の作用を定量的に測定することが難しい場合があります。
大友助教らのグループは、工学部応用化学科の岡村陽介教授(マイクロ・ナノ研究開発センター兼任)、東京工業大学藤枝俊宣講師、ならびに早稲田大学理工学術院武岡真司教授らよって開発されたポリ乳酸(PLA)を材料として作製したナノシートを培養基材として使用しました。ナノシートは現在までに、創傷被覆材や顕微鏡観察の際のカバーガラスの代替品としてなどさまざまな用途で使用され、注目されています。このナノシートに立体的な溝加工を施したものと、加工しなかったものを細胞基材として使って、マウスの大脳新皮質由来の神経細胞を培養。オールインワン蛍光顕微鏡や次世代シークエンサーを用いて細胞形態と遺伝子発現解析を行った結果、溝加工のないものでは神経突起がランダムに進展する一方、溝加工を施したナノシートでは神経突起の進展方向が一定に制御されるだけでなく、シナプスの形成にかかわる遺伝子群の発現が早まることを明らかにしました。これまでの研究でも培養基材の形態が神経細胞の形態形成や遺伝子発現パターンに影響を与えることは示唆されていましたが、細胞分化の促進や培養細胞の均一性に大きな役割を果たすことを明らかにしたのは本論文が初めてです。
東海大学公式ウェブサイトはこちら
2020年04月21日
中川講師は、「動物やヒトに感染するコロナウイルスは、知られているだけで100種以上あります。SARS-CoV-2にはセンザンコウやコウモリに似た塩基配列が認められており、全く未知のウイルスというわけではありません。ウイルス学の研究者の中には、“ウイルスによる新たなアウトブレイクはいつか起こりうる”という危機感を持ち、さまざまな動物からコロナウイルスなどの新規ウイルスを同定するなどの研究を積み重ねてきた方々がいます。その成果がSARS-CoV-2の分析や同ウイルスによる感染症の診断・治療法の開発にも生かされつつあります。新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大の状況や対策といった疫学的な視点からの情報は数多く提供されていますが、一方でウイルスそのものの性質については日本語でアクセスできる文献が限られていたように思えたので、関連の研究を含めてぜひ多くの人に知ってほしいと思いました」と寄稿した理由を語ります。
「ウイルスは太古の昔からヒトを含めたさまざまな生物に感染し、“いたちごっこ”のように共進化を続けてきました。そして、ときにはウイルスの配列の一部は生物の遺伝子に組み込まれ、生物の多様な機能を担う原動力となることも知られています。今後も、ウイルス感染で組み込まれた遺伝子によりヒトが獲得した機能や免疫機構の変化、ウイルスの多様性などに着目しながら比較ゲノム学的なアプローチによる研究を続け、将来的には感染症の予防や診断・治療といった臨床応用にもつなげたい」と話しています。
※『実験医学』オンライン版に掲載された記事はこちらからご覧いただけます。
なお、「羊土社HP会員」の登録が必要です(無料)。
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/special/SARS-CoV-2.html
2020年04月20日
工学部材料科学科の葛巻徹教授らのグループによる研究プロジェクト「腱形成メカニズムの解明による生体組織由来の再生人工靱帯の創製」が3月17日に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「橋渡し研究戦略的推進プログラム」の令和2年度橋渡し研究異分野融合型研究シーズに採択されました。このプログラムは、優れた基礎研究の成果を臨床研究・実用化へ効果的に橋渡しできる体制を構築し、革新的な医薬品や医療機器等の創出を推進することが目的です。今回採択されたのは、その一環として首都圏の私立大学をはじめとする臨床研究機関が結成している首都圏ARコンソーシアム「MARC」が展開しているもの。医学部を有する大学に所属する研究者のうち、医学部以外に所属する研究者が中心となって展開するプロジェクトを支援することで日本発の革新的な医薬品・医療機器の開発を目指しています。
人をはじめとする動物の靱帯は体の運動機能を支える重要な役割を果たしていますが、一度損傷すると元のように再生できません。そのため、体の他の場所から持ってきた靱帯を移植する方法が用いられていますが、移植元の場所にも負荷を与えることになる欠点があります。葛巻教授らは、そうした課題を解決するため、靱帯再生のメカニズムを総合的に解明し、生体組織を使って人工靱帯を作成する技術の研究を展開。本学の総合科学技術研究機構によるプロジェクト研究の支援などを受けながら、医学部や理学部、農学部のほか、金沢大学や福井医療大学の研究者らと共同で進めています。
これまでの研究では、靱帯の原料となる分泌組織を生体「腱」から採取し一定の力をかけるとコラーゲン線維の架橋・成長が促進されコラーゲン線維が一方向に配列することを明らかにするとともに、コラーゲン産生細胞の特定とコラーゲン生成のメカニズムや腱から分泌される組織の構造・成分などを分析してきました。今回採択されたプロジェクトでは研究をさらに進展させ、分泌組織をシャーレ上で培養することや、3Dプリンティング技術を使ってヒト線維芽細胞集合体(スフェロイド)を円筒型に積層した構造体を作製し、テンションをかけながら培養した際の作用を調べる計画です。
葛巻教授は、「断裂した腱・靱帯の自己再生に関する研究と、生体内から取り出した分泌組織や細胞をもとに人工的に培養・成長させて人工靱帯を作る研究の両面から再生医療にチャレンジしています。腱・靱帯損傷治療に大きな可能性が開けている一方、組織の強さや成熟度などヒトへの応用に求められる適切な組織をどう設定するのか等、取り組むべき課題は多く残されています。今回取り組む実験は、様々な場面で形成されるコラーゲン線維組織の特徴を解明し再生メカニズムへの理解をさらに深め、研究を次のステップに引き上げる上でも非常に重要になると考えています。靱帯の再生が可能になれば、多くの人の健康で活力ある生活の維持に役立つことは間違いありません。今後もさまざまな分野の専門家と連携しつつ、技術の実用化を目指していきたい」と話しています。
葛巻 徹教授 独自開発した牽引培養装置
東海大学公式ウェブサイトはこちら
2020年04月15日
マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)では、ガネシュ・クマール・マニ外国人特別研究員(日本学術振興会)と槌谷和義教授(工学部精密工学科)の研究グループがこのほど、熱中症の予防や診断に活用できる画期的なセンサを開発。その成果をまとめた論文「Advanced Artificial Electronic Skin Based pH Sensing System for Heatstroke Detection」が、アメリカ化学会の学術誌『ACS SENSOR』オンライン版に3月11日付で掲載されました。
熱中症は、体温の上昇に伴って体内の水分量が減り、めまいやけいれんなどを発症する病気です。気候変動の影響で世界的に年々罹患者が増え、日本をはじめ高齢化が進んでいる国では社会問題になっています。脱水症状を起こすと汗のpH値が変化することから、各地でそのpH値を測るセンサ開発が進められていますが、電源が必要になったり、センサが大型になってしまったりといった課題がありました。
ガネシュ研究員らの開発した物理センサは、皮膚に直接貼れて、外部電源を用いずにリアルタイムで正確にpH値を測れます。手の甲に貼れるサイズの高分子超薄膜(ナノシート)上に、アンチモンおよび三酸化アンチモン、ヨウ素酸銀を積層した2つの電極を取り付け、電極間で生じる微弱な電位差を利用して計測できる構造で、ナノシートは粘着剤などが一切使われていないことから肌にも優しく、繰り返し使うことができるのも特徴です。
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2020年04月15日
ネコに続いて今月上旬には米国ニューヨークの動物園でトラに新型コロナウイルスの陽性反応が出たという。人間以外の動物に感染が広がっていることを不気味に思う人もいるのではないか。
イヌやネコなどそれぞれの生物種ごとに感染できるコロナウイルスが決まっている。なぜ新型コロナウイルスは種を超えて感染拡大したのか? 国立遺伝学研究所博士研究員、ハーバード大学客員研究員などを経て東海大学医学部分子生命科学講師を務める中川草理学博士に聞いた。
「ウイルスは遺伝子構造の違いによりDNAウイルスとRNAウイルスに大別されます。コロナウイルスはRNAウイルスで、RNAの塩基配列に遺伝情報を格納しています。ウイルスは単位時間当たりの遺伝子に蓄積される変異の数、すなわち進化速度が非常に速いことが知られています。新型コロナウイルスもその例外ではなく、人間の核ゲノムのDNAと比べておよそ100万倍も速いです。そのため、今回の新型コロナウイルスが、短期間で変異してネコやトラに感染できるようになったと思っている人もいるかもしれません。しかし、それは間違いです」
(続きは日刊ゲンダイ公式ウェブサイトへ)
↑上記に紹介しました記事について中川講師から補足コメントがございます。
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文字数の関係で細かい話ができていないので、ネコで新型コロナウイルスが「空気感染」する可能性と、ネコが新型コロナウイルスの中間宿主ではない可能性について、下に更に詳細記します。4月8日にオンライン公開された米国サイエンス誌に掲載された中国のハルビン獣医学研究所からの論文(https://science.sciencemag.org/content/early/2020/04/07/science.abb7015)では「空気感染」という言葉が確かに使われています。ただし、この実験では、高濃度の新型コロナウイルスを猫に噴霧して感染させた実験のため、そもそもの濃度が高かった可能性も他の研究者から指摘されています(https://www.nature.com/articles/d41586-020-00984-8)ので、「空気感染」はあくまでも実験室レベルでの話です。今後他の研究グループからの追試が待たれるところです。また、それではネコが原因で今回の新型コロナウイルスが広まったかもと考える人がいるかもしれません。プレプリント(査読前の論文)の報告ですが、武漢に生息する猫の抗体検査が大規模に調べた研究成果があります(https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.04.01.021196v1)。その結果、新型コロナウイルスの流行以後にサンプリングを行った猫には抗体があった、つまり猫の一部は新型コロナウイルスに感染していたと考えれれるが、それ以前の武漢で採取された猫の血液からは抗体は検出されませんでした。つまり、猫の集団中にもともとウイルスがあったわけではないと示唆されています。この結果から、猫が媒体となって新型コロナウイルスを人に感染させたのではなくて、人から猫に感染した可能性が高いと考えられます。2020年4月15日 中川追記
2020年04月06日
工学部機械工学科の木村啓志准教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)が株式会社ニコンなどと共同で、創薬研究に貢献する新たな分析機器「BioStation CT for MPS」を開発。3月18日に湘南キャンパスにあるイメージング研究開発センターで、機器の利用説明会を開催しました。
この分析機器は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が展開している「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)」の一環として開発されたものです。同事業は、マイクロ流体デバイス技術を活用して、これまでにない画期的な細胞培養モデル(Microphysiological system: MPS)を構築し、動物実験に頼らずに医薬候補品の安全性や効果などを評価できる新たな創薬基盤の開発を目指しています。全国の大学・企業からなる16チームで構成されており、木村准教授は「創薬における高次in vitro評価系としてのKidney-on-a-chipの開発」の研究開発代表者を務めています。
木村准教授の研究室では、3年前から腎臓内科医の南学正臣教授(東京大学)や、藤井輝夫教授(同)、ニコンなどと共同で、腎臓の機能を再現するモデルデバイスの開発と評価方法の構築に向けた研究に取り組んでいます。体に不要な物質を排出する尿を作る重要な働きを持っている腎臓の中でも、血液から不要物を取り除いて原尿を作る糸球体と、原尿内の水分と栄養素を再吸収する尿細管の機能を人工的に再現したマイクロ流体デバイスを開発。ニコンが販売している細胞培養観察装置「BioStation CT」をベースにデバイス内で起きるさまざまな現象を24時間自動で観察できる観察システムを構築しました。これによって、さまざまな条件下で、生体内の血流を模した流体による機械的な刺激を細胞に与えたときの変化や医薬候補品投与前後の変化を細胞レベルで経時的に追うことができるようになりました。
本学公式ウェブサイト記事はこちら
「実験医学」2020年5月号(4月20日発行)では,京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸先生,東海大学医学部分子生命科学の中川 草先生に,新型コロナウイルスSARS-CoV-2の最新の科学的知見につき特別記事をご執筆いただきました.日々新たな論文(プレプリントを含む)が発表されるなか,私たち編集部も一刻も早く情報をお届けすべきと考え,このたび掲載号発行に先んじてWebにて記事を先行公開いたします.
「実験医学」編集部より
公式サイトはこちらhttps://www.yodosha.co.jp/(閲覧には無料の登録が必要です)
東海大学工学部応用化学科 教授
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 所員
岡村 陽介 インタビュー岡村陽介.pdf
(2020年4月3日掲載, 聞き手 高橋・藤原)
―これまでの研究内容を教えてください。
私の専門は、高分子化学・ナノ材料工学です。高分子というより、プラスチックといったほうがイメージしやすいでしょうか?世の中には、汎用的に広く利用される高分子、生体や環境にやさしい高分子(生体適合性・生分解性高分子)にあふれています。私の研究室では、これら高分子からなる一群の2次元ナノ材料(ナノシート・ナノディスク・ナノリボンなど)を独創的かつ簡便な手法で創製する技術を研究開発しています。これを基盤技術とし、人類の健康や医療、環境に役立つ研究につなげることを目標に掲げています[文献1] 。
学生時代、恩師の武岡真司教授(早稲田大学先進理工学部)のもとで、生体に存在する高分子(タンパク質)や脂質の集合体からなる血中投与可能なナノ粒子を開発してきました。特に、ナノ粒子に止血能を付与する、いわば止血に関与する血小板という細胞を人工的につくるテーマでした[文献2-4] 。非常に挑戦的なテーマでもあり、毎日楽しく研究することができました。人工血小板のプロトタイプが完成した次の段階として、血小板のような円盤状の粒子をつくろう、という展開を図りました。後輩の藤枝君(現東京工業大学 講師)とともに、基板の上に微細な加工を施してドット状のパターンを描き、素材となる高分子をドット部分だけに塗ることで、円盤構造を得る計画でした。しかし、ある時、ほとんど目に見えない薄い物体が基板全体から剥がれました。実はこれがナノ薄膜です。ナノ薄膜は失敗から生まれたナノ材料なんです。私はポリ乳酸という生分解性プラスチックからなるナノ薄膜を初めて創製し、胃を縫う代わりに貼って治す医用応用例を発信しました[文献5] 。
2009年から3年間、ドイツのボン大学生命医科学研究所(Thorsten Lang研究室)に留学しました。指導を受けたLang教授は、生物物理・顕微鏡イメージングが専門で、神経細胞や血液細胞のイメージング技術、画像解析技術を学びました[文献6,7]。これまでモノづくりが専門でしたので、異分野に飛び込んだことになります。留学当初は正直不安もありましたが、丁寧に指導して頂くことができ、本当に貴重な経験でした。その一方で、ノウハウに依存したイメージングに関する課題を実感したのもこの時でした。これをモノづくりの立場で解決したい、という思いが現在の研究にも繋がっています[文献8-10] 。
2012年から東海大学に着任し、現在に至ります。これまでの知見をベースに、上述したように新しい2次元ナノ材料(ナノシート・ナノディスク・ナノリボンなど)を開発しています。いずれも面をもつユニークな形状を有していることから、いろいろな界面と2次的に面接触できる相互作用(高い接着性)が生まれます。これを基盤技術とし、工学的なアプローチで、医学、光学、香粧品学の研究領域との融合を図っています。これまで、臓器縫合術の代替、感染防止材、止血材、骨再生治療、薬物運搬体、診断材料などの応用例を提案しています[文献11-18] 。
-マイクロ・ナノ研究開発センターでの活動について教えてください。
2014年から5年間、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「高分子超薄膜から創成する次世代医用技術」の採択を受けて設立された「マイクロ・ナノ研究開発センター」では、超薄膜を“創る”チームのリーダーとして、各学部学科の先生達との共同研究を行ってきました。現在は、医理工融合マテリアル研究チームのリーダーを務めております。センターはまさに異分野融合拠点であるので、マテリアルをベースに連携、共同研究を推進していければと思います。
-研究のモチベーションは何ですか??
ありきたりですが、モノづくり屋としての私の研究のモチベーションは、誰かが必要というものを作って、世の中に出したいという思いです。難しい製法で、ごく微量しか作れない特効薬のような素材もいいですが、私は、簡単で誰にでも作れるものを開発したい。「簡単だとまねされるよ」と忠告されたこともありますが、まねされてもいいんです。誰でも同じように作れてこそ、世の中に広がるからです。研究は、予想通りにいくことはほとんどなく、紆余曲折した末に、ようやくゴールにたどりつきます。後から振り返れば、なぜ「最短距離」の道が分からなかったのだろうかと思いますが、一定の目標に達した時の達成感はたまらないですね。
-学生の皆さんへメッセージをお願いします。
一見独立したようにみえる学問を「線」に繋げて見ると楽しくなります。それが研究です。私の専門の化学でいうと、有機化学・無機化学・物理化学の分野に大別されます。学部3年生までは、各々の講義科目名で履修し、勉強します。各々の分野を学ぶことはとても重要ですが、教科書が分かれているせいか、独立した学問のように錯覚してしまう。いわゆる「点」で終わってしまいかねません。研究をスタートした皆さんは既に感じていると思いますが、研究に分野は関係ありません。「点」を「線」に繋げたからこそ見えてくるものや考え方があります。このつながった瞬間が面白い。さらに、化学以外の異分野との融合研究は、2次元の「線」が3次元に繋がるからまたまたたまらない。日々勉強だと思います。当たり前に使っている身近なものや身近に起こる現象を、なんでだろう?と不思議に感じ、わからなければ調べる、試してみる。それが新しい発想に繋がるし、人生が楽しくなる。一度きりの人生ですから、楽しく面白く生きたい。私はそう感じています。
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工学部応用化学科 教授 岡村 陽介 (おかむら ようすけ)
2006年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了、博士(工学)。日本学術振興会特別研究員、ボン大学生命医科学研究所 フンボルト財団研究員・日本学術振興会海外特別研究員を経て、2012年東海大学創造科学技術研究機構講師。2015年東海大学工学部応用化学科准教授、2020年より現職。2014年科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞、その他計9件の受賞。高分子化学、生体材料学、ナノ材料工学を専門とし、2次元ナノ材料の創製と医工学応用展開に関する研究に従事。
Researchmap: https://researchmap.jp/y_okamura
Scopus Author ID: https://www.scopus.com/authid/detail.uri?authorId=57211875055
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最近の公刊論文など(抜粋) 岡村 陽介
東海大学医学部医学科 講師
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 所員
中川 草 インタビュー中川草.pdf
(2020年4月2日掲載, 聞き手 高橋)
―これまでの研究内容を教えてください。
私はウイルス、細菌といった微生物から、我々ヒトを含めた動物まで、様々な生物のゲノム・遺伝情報の解析を行っています。特に、大規模塩基配列を活用した分子進化・比較ゲノム研究に関しては、2017年に日本進化学会の研究奨励賞を受賞しました。
2008年から2011年には国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ 研究センター(五條堀孝研究室)に博士研究員として在籍し、原核生物(細菌・古細菌)の蛋白質の翻訳開始メカニズムの進化を大規模な比較ゲノム解析によって明らかにしました(業績1)。2011年から2013年に米国ハーバード大学 進化生物学科(Daniel Hartl 研究室)に客員研究員として在籍し (日本学術振興会特別研究員)、多重遺伝子族のフォークヘッド型転写因子(Fox 遺伝子)について、その起源と配列の進化、そして結合するDNA配列の変化について大規模な比較ゲノム解析によって明らかにしました(業績2)。 本研究成果はScience 誌の Editors’ Choice でも紹介されました。
2013年から現在の所属先に移動し、 宿主ゲノムに内在化したウイルス配列(EVE)関する研究を本格的に開始しました。ウシのゲノムに内在化したレトロウイルス由来の配列が胎盤発生に関与することを発見しました(業績3-5)。更に、それらのウイルスに由来する遺伝子の進化モデルについて、重複遺伝子の進化モデルと比較して、「バトンパス仮説」というモデルを発表しました(業績6)。EVEに関するデータベースを開発・運用しています(業績7, http://geve.med.u-tokai.ac.jp; 業績8, http://peve.med.u-tokai.ac.jp)。加えて、ウイルスと宿主の進化解析も行っていて、エボラウイルスの感染効率上昇に関わる突然変異について、大規模塩基配列を活用した正の淘汰解析から明らかにしました(業績9,10)。現在パンデミックになっているコロナウイルスに関しても研究を開始しました(業績11)。
-マイクロ・ナノ研究開発センターでの活動について教えてください。
大規模塩基配列を活用したさまざまな解析を行っています。医理工融合メディカル研究チームの大友先生、医理工融合マテリアル研究チームの岡村先生らと共同して、マウス神経細胞を溝加工したナノシート上で培養させると分化誘導がうまくすすむことを発見しました(業績12)。加えて、医理工融合メディカル研究チームの三橋先生らと共同して、ナノポア技術を元にしたDNAシークエンサーMinIONを活用した様々な研究などにも取り組んでいます(業績13-15)。
-研究のモチベーションは何ですか??
私は生命の起源や進化に興味があります。現在、主な研究対象としているウイルスは、生命と非生命の境界領域に存在していて、その存在や振る舞いが非常に興味深いです。注意してほしいのですが、ウイルスはコロナウイルス、インフルエンザウイルスなど、病気を引き起こすイメージがあると思いますが、ほとんどのウイルスは病気とは関係がありません。そういった病気とも関係ないウイルスについても、環境や生体でさまざまな機能を担っていることがわかってきています。そういったところに興味があります。また、私の研究は自身で完結することが少ないので、様々な共同研究者の方々と協力して行うことが多いです。そのような共同研究者の方々、このマイクロ・ナノ研究開発センターの方含めてですが、素晴らしい方々が多く、いつも教わるところも多く、いろいろな刺激になります。
-社会に役立つイノベーションとは。
これはなかなか難しい質問ですね。私は最近大規模メタゲノムシークエンスデータからのウイルス同定ということに取り組んでいます(業績16, 17)。主にほ乳類や鳥類を対象としているのですが、これがなかなか医学研究に直接役立つとは思われません。ただ、2019年末から始まった新型コロナウイルスなどが典型例ですが、いま感染症分野で恐れられているものは、ほとんどがほ乳類や鳥類が日和見的に感染しているウイルスが元になって起こります。新型コロナウイルスについても、コウモリやセンザンコウといった生き物から見つかったウイルスが類似していて、おそらく起源となったであろうと考えられています。コウモリやセンザンコウでみつかったウイルス配列が新型コロナウイルスの性状解析にも役立つと考えられています。このように、大学では一般企業とは異なり、一見すると遠回りかもしれませんが、なにかの機会に役に立つような研究を積み上げておくことも重要なイノベーションにつながるのではないかと考えています。
-学生の皆さんへメッセージをお願いします。
自分の好きなこと、そして得意なことをぜひ見つけられたらと思います。そして、社会との接点を意識しつつ、その見つけたことに邁進してください。全部を自分で抱え込んで行う必要はないので、いい仲間も見つけるもの重要です。これは研究に限らず、さまざまな分野に進んだときも、同じように大切だと思っています。
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医学部医学科 講師 中川 草 (なかがわ そう)
2008年 東京医科歯科大学 大学院生命情報科学教育部 博士後期課程修了、博士(理学)。国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センター 博士研究員、ハーバード大学 客員研究員を経て、2013年より東海大学医学部 分子生命科学 助教、2018年より講師(現職)。
専門は比較ゲノム解析。ウイルス、細菌から哺乳類までを研究の対象としてゲノム・トランスクリプトーム解析に取り組む日々。
Researchmap: https://researchmap.jp/sounaka
Scopus Author ID: 12143870400
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業績:公刊論文など(抜粋) 中川 草
(*は責任著者、†は共同筆頭著者、研究代表者と分担者を下線で示した、全て査読あり)
東海大学工学部精密工学科 教授
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 所員
槌谷 和義 インタビュー槌谷和義.pdf.
(2020年3月31日掲載, 聞き手 高橋・毛利)
―これまでの研究内容を教えてください。
私は、来予想される高齢者社会において重要になる「人間にやさしい医用機械システム」として、腕時計型の形態を持ち、痛みの無い注射針が自動的に血液を採取し、特定の細胞・酵素により健康インデックスマーカーを捕捉し病変あるいはその予兆を感知し、治癒作業を行う機能を持つ携帯型HMSの開発を行ってきました。その開発を通して、同装置を構成する極細針をナノテクノロジーを用いて創製する技術や痛みの客観的評価法の確立とそれに基づく新規中実型極細針の開発、さらには血液を採取するマイクロポンプの開発を行ってきました。同装置は時計型の形態を有することから、限られた空間内に設置するには寸法に制限があります。したがって、モータや歯車を駆使した機械の“サイズ(寸法)”を“切ったり削ったり”という手法で小型化するには限界があります。そこで、モータや歯車を用いることなく、エネルギを変換することで動く、いわゆる「スマートマテリアル」の設計・開発、特に統計学を利用して有意な因子を明らかにし、設計・開発を行っています。現在では、それらの技術を要素技術として、センサやアクチュエータの設計や創製に関する研究を中心に行っています。
-マイクロ・ナノ研究開発センターでの活動について教えてください。
マイクロ・ナノ研究開発センターでは、理学・工学的見地に基づくエンジニアード・プロダクトの創製として、より良いプロダクトを目標にものづくりを行っています。機能性の向上には、マクロとミクロスケールでの双方向な設計が必要不可欠であります。例えば、機械主要部品あるいは機械の設計をする上での重要要素としては、(1)機械的特性を含む材料の知識、(2)構造設計、(3)加工方法、(4)評価法、であると考え、私たちは、最適設計を行うために、最適解を求めるために近似式を構築し、マクロとミクロスケールでの双方向から統計的な解釈により設計・開発を行っております。具体的には、(2)構造設計に指示をする寸法の範囲内で「ある特性値」を大きく、または小さくすることを技術者は考え、より良いエンジニアード・プロダクトを作り上げて参ります。これを実現するために私たちは、創製したプロダクト評価に関して他チームとの共同研究体制を構築し、本チーム内メンバー間で複数の研究テーマを実施しております。また、他チームメンバーとの情報交換の場を設けて、共同研究テーマを立案し推進しております。
-研究のモチベーションは何ですか??
研究のモーティベーションは、やはり研究を「社会貢献」に活かすことを考えて行動することです。自身が研究対象とするプロダクトの設計・開発への考えは、社会の人たちに、あるいは企業の人たちに必要とされる「もの」と「技術」を生み出すことが社会貢献であると考えております。「もの」の開発は、社会で困っていることを克服することを目的としたものつくりを通して「人の生活を豊かにする」ことができると考えております。また「技術」の開発は、「今までできなかったことをできるようにする」、「やすく速く作れるようにする」といった技術や、「企業が持ってる技術を設備投資を新に行うことなく新しい分野に応用するアイデア」を提案することなどが、ものづくり立国を後押しすることであるとが、社会貢献であると考えております。 「もの」と「技術」を生み出すことを通して、学生への教育に繋げております。
-社会に役立つイノベーションとは。
マイクロ・ナノ研究開発センターは医理工の研究者が集まり、異分野の研究がスタート致しました。現在は医理工のみならず本学が推進している文理融合をテーマとした研究も着々と成果が得られているようです。マイクロ・ナノ研究開発センターの研究スタンスである「学際領域」の研究は、『学』問の『際(きわ)』と書きますが、その「際」を研究の中心へと位置づけており、「イノベーション」へと押し進めていると思います。ここで私が進めたイノベーションは、医工連携を行った「痛みの評価」です。針穿刺時の痛みを数値化することが可能となり、“様々なパラメータを考慮することで、 様々な使用環境に適した“針の設計”が可能になりました。その結果、使用環境条件に適し、社会ニーズに応じたアプリケーションの設計(さらなるセンサ機能付加)が可能になりました。イノベーションとは、きっかけは「あるものとあるものの『足し算』」ですが、結果は「あるものとあるものの『かけ算』」であると私は考えます。そのイのエーションである「かけ算」をさらに推進したいと思います。
-学生の皆さんへメッセージをお願いします。
現実・社会において,「物事を成し遂げることのできる力」を持った人間が社会に必要とされています。大学で何を学んできたのか(成績)よりもむしろ自分に何ができるのか(能力)が重要視されます。座学では知識をたくさん吸収することができます。この「知識の習得」はとても大事ですが、それと同じかもしくはさらに大事な物が「自身に何ができるか」です。知識の忘却は加齢と共に起こりうることですが、参考書や教科書によりそれを補うことができます。しかし「自身に何ができるか」は、技術ですからもし習得すれば忘却することなく、加齢と共に磨き上げられます。例としては、自転車に一度乗れるようになったら、何十年後でも乗り方を忘れることなく乗ることができることと同じ理屈です。また研究課題は、自身の身の回りにたくさんあります。新聞やテレビ、さらにはアルバイト先の仲間との会話にもヒントがあるかもしれません。マイクロ・ナノ研究開発センターは他分野の研究者の集まりです。是非ともいろいろな研究者と交流を深め、様々なことに興味を持って下さい。
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工学部精密工学科 教授 槌谷 和義 (つちや かずよし)
1999年英国ウォーリック大学大学院 Centre for Nanotechnology and Microengineering専攻修了、Ph.D.。茨城大学 講師(SVBL研究員)、大阪工業大学 研究員を経て、2005年東海大学工学部精密工学科講師、2007年同准教授。2014年より現職。
公益社団法人精密工学会 理事。
医用工学、薄膜工学、を専門とし、学問分野の垣根を越えた医理工連携研究に従事。
Researchmap: https://researchmap.jp/read0127000
Scopus Author ID:
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最近の公刊論文など(抜粋) 槌谷和義
2020年03月24日
2020年03月17日
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東海大学工学部機械工学科 准教授
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 所員
木村 啓志
(2020年3月24日掲載, 聞き手 髙橋・毛利)インタビュー木村啓志.pdf.
―これまでの研究内容を教えてください。
私は、工学分野で発展を遂げているマイクロ・ナノデバイス技術を、様々な研究分野と融合させることによって、新規の研究分野開拓や産業創出を目指しています。私たちが開発しているマイクロ・ナノデバイスとは、半導体微細加工技術や3Dプリンタ・プロッタなどを活用して、ミクロン単位の小さな空間を自在に設計・加工して作られる小さな機械のことです。このようなデバイスとバイオとの融合に力を入れていて、医療や創薬に応用することのできるシステムの開発に日々励んでます。人工的に作製した小さな空間の中で、生きた細胞を取り扱って生体機能を再構築することによって、創薬における動物実験の代替や、未知の生命現象の解明を目指す研究を進めています。まさに、私たちが開発しているものは、機械と生物のハイブリッドシステムです。機械と生物という一見相容れないもの同士を巧みに組み合わせたシステムの創成は、医療応用への利便性を向上させるだけでなく新たな発見への期待を膨らませてくれます。
-マイクロ・ナノ研究開発センターでの活動について教えてください。
マイクロ・ナノ研究開発センターでは、医理工融合メディカル研究チームのリーダーを務めています。医理工融合メディカル研究チームでは、医学部を有する数少ない総合私立大学である東海大学の利点を活かして、積極的に医工連携研究を進めています。私は、医学部の秦野教授や大友助教らとともに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)関連の共同研究をマイクロ・ナノ研究開発センターの設立以来推進してきましたが、同テーマが2020年度の日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究戦略的推進プログラム」にも採択されています。
もちろん、研究チームの枠にとらわれることなく、他の研究チームのメンバーや学内外の研究者らとも積極的に交流して、共同研究を進めています。私が得意なマイクロ・ナノデバイス技術は、医療分野に限らず、様々な分野との親和性が高いことが特徴です。このおかげで、これまでに本当に様々な分野の研究者の方々と共同研究する機会をいただきました。ですから、工学の研究者の考え方だけではなく、医学や薬学の研究者の考え方も理解しているつもりです。マイクロ・ナノ研究開発センターでは、異分野研究の架け橋のような存在になることを目指して活動しています。
-研究のモチベーションは何ですか??
私は根っからの工学研究者ですから、自分たちの開発したものが世のため、人のためになってほしい、と考えています。私にとっては、身近に良い実験道具がなくて困っている生物学研究者も、病気で苦しんでいる患者さんも、海洋放射能汚染におびえる漁業者も、人数こそ違いますが同じように助けたい対象です。在り来たりですが、自分たちの研究で困っている人たちを少しでも助けたいという気持ちが一番大きな研究のモチベーションでしょうか。
もう一つ、大学で研究するモチベーションは、学生の成長です。私の研究テーマの多くは、研究室に所属する学生たちが実施しています。研究活動を通じて、彼らが人としての成長をする姿を見るのは、研究で新しい発見をするのと同じくらいワクワクします。
-社会に役立つイノベーションとは。
少子高齢化が進む中で、高度な治療から在宅での日常的な検査まで、医療の重要性は今後ますます高まることが予想されます。私たちが開発を進めているような、操作が簡便で小型な医療デバイスが普及すれば、誰もが安心して迅速な検査や高度な治療を受けられるようになることが期待できます。私の研究分野は先端的な工学技術と医療・バイオをはじめとする様々な学問とを融合して新たなシステムを創成しようとする異分野横断型の新しい研究分野です。21世紀はIT(情報技術)と共に、バイオの時代とも言われています。こういった工学とバイオを融合した先端技術の研究は、今後ますます注目されると思います。
-学生の皆さんへメッセージをお願いします。
研究のプロセスは、まさに社会に出たときの仕事のプロセスそのものです。座学ではなかなか身につけることが難しい、問題発見能力、考える力、成し遂げ力などを身につけることができます。そしてなんと言っても、研究を成し遂げたときの喜びは何物にも代えがたい。是非、研究活動を通じて様々なことを体験してみてください。きっと皆さんの自信につながると思います。東海大学やマイクロ・ナノ研究開発センターには、皆さんの活躍の場がたくさんありますよ。
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工学部機械工学科 准教授 木村 啓志 (きむら ひろし)
2007年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。東京大学生産技術研究所 特任研究員および特任助教を経て、2012年東海大学工学部機械工学科講師。2015年より現職。この間、2017-2018年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部客員研究員として研究留学。バイオエンジニアリング、マイクロ流体工学、を専門とし、学問分野の垣根を越えた医理工連携研究に従事。日本医療研究開発機構(AMED)などの大型予算の研究代表者も務めている。
Research map: https://researchmap.jp/hiropain
Scopus Author ID: https://www.scopus.com/authid/detail.uri?authorId=15845824700
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最近の公刊論文など(抜粋2020年3月) 木村 啓志
理学部化学科の冨田恒之准教授が代表を務める研究グループがこのほど、物質・デバイス領域共同研究拠点の「2019年度物質・デバイス共同研究賞」を受賞。7月1日に大阪・千里ライフサイエンスセンターで開かれた「第9回 物質・デバイス領域共同研究拠点活動報告会及び平成30年度 ダイナミック・アライアンス成果報告会〜進化し続ける共同研究拠点組織〜」で表彰式が行われ、冨田准教授が出席しました。
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岡村准教授、張研究員らの研究グループが光学顕微鏡で生体試料を高精細でより深く観察する新技術を開発しました
工学部応用化学科の岡村陽介准教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)、張宏研究員(同)らがこのほど、撥水性のナノシートを活用して一般的な光学顕微鏡で生体試料を高精細でより深部まで観察できる新技術を開発しました。成果をまとめた論文が1月10日付で、科学全般に関するオンラインジャーナル『PLOS ONE』に掲載されています。
【論文タイトル】
Nanosheet wrapping-assisted coverslip-free imaging for looking deeper into a tissue at high resolution
【論文URL】
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0227650
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(2020年2月6日掲載, 聞き手 高橋・毛利)インタビュー喜多理王.pdf
―これまでの研究内容を教えてください。
私のこれまでの研究を大別すると、
①高分子溶液の相平衡と相分離ダイナミクスに関する研究
②血液レオロジーおよび血漿タンパク質のゲル化現象の解析
③高分子のキャラクタリゼーション(熱平衡状態の分子物性研究)
④高分子の非平衡現象における不可逆的輸送現象の解析
⑤ソフトマテリアルの分子ダイナミクス解析
などとなるでしょうか。一言でいうと、「やわらかい物質の分子レベルでの性質を調べる」、ということです。
2005年に東海大学に入職してから現在まで、物理学科の八木原晋教授、新屋敷直木教授と誘電分光グループの一員としてソフトマテリアルの分子ダイナミクス研究を行っています。水を含むソフトマテリアル(合成高分子[文献1-7]、ゲル[文献8-11]、生体高分子など[文献12-16]、低分子混合溶液[文献17-19]、高分子超薄膜分散液の分子物性研究を行ってきました。手法は、レーザ干渉法、光散乱法、小角X線散乱法、熱分析、粘弾性測定、広帯域誘電分光法など、さまざまな手法を用いています。
物理学の対象としては複雑なシステムである多糖や核酸、タンパク質など生体高分子の構造と機能に関する基礎研究を、高分子物理学の手法や方法論を積極的に取り入れています。さらに物理学としてはかなり挑戦的になりますが、受精卵の発生分化過程への物理学的刺激の影響を調べる研究、汚染水処理法の開発、廃棄物リサイクルなどソフトマテルの基礎研究の知見をベースに、分子生物学的な研究や産業応用を目指す研究も行っています。最近は、マイクロ・ナノ研究開発センターの先生方と協力して文理融合研究に注力し、その成果を教育へ還元したいと考えています。
-マイクロ・ナノ研究開発センターでの活動について教えてください
2014年から、文部科学省 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「高分子超薄膜から創成する次世代医用技術」(東海大学 5年間)の採択を受けて、「マイクロ・ナノ研究開発センター」の設立と運営に携わり、東海大学の各学科各学部の先生達との共同研究を行ってきました。多くの出会いがあり、分野の枠を超えた共同研究の難しさを知るとともに、その有効性や成功したときのインパクトを経験することが出来ました。さまざまな専門の先生方とコミュケーションを取ると、新しい気付きがたくさんあり、またたいへん勉強になります。時には難しくてついていけないこともあるのですが、それ自体が面白さでもあると感じられるようになりました。
―ベンチャー企業の代表をされているとうかがいました。
先にのべた私大戦略事業「高分子超薄膜から創成する次世代医用技術」の成果を社会還元するために設立した東海大学発ベンチャー企業があります。医理工連携の体制で基礎から応用研究までを実施してきたマイクロ・ナノ研究開発センターの成果の中に、高分子超薄膜のイメージングツールへの応用があります。これは応用化学科の岡村先生が開発されたものですが、その引き合いの多さから、世界中の研究者にとって新たな研究用ツールとして役に立つに違いないと思ったのです。
株式会社チューンという社名です。役員は私大戦略事業を一緒に行った8名の教員です。光学顕微鏡観察をしている学生の皆さん、先生方、チェックしてみてください。
株式会社チューン: http://www.tune-tech.co.jp/
-社会に役立つイノベーションとは。
イノベーションを語れるほどの経験はありませんが、他分野の研究者とブレインストーミングすることで気づかされることが本当に沢山あります。そこから立ち上げる共同研究テーマは、その遂行は簡単ではありませんがやりがいはあります。その過程でビジネスマインドというか、自分がこれまでは気づいてはいなかったけれども、世の中で困っている課題を解決できるということに気づくことができれば、それが実際に世間の役に立ちまた同時に産業振興に繋がる可能性があるわけです。そういった意味では、産業界とも密接に連携する必要性があり、それを実践する勇気を持つことが大切だと感じています。長く基礎研究ばかりやってきましたし、基礎研究はもちろんおろそかにしてはいけませんが、マイクロ・ナノ研究開発センターでは、産官学連携の機会が多々あることから多くの方とWIN-WINの関係を築きながらイノベーションを創出していきたいです。
-学生の皆さんへメッセージをお願いします。
東海大学は、昨今の世界的な大学ランキングで、日本の私立大学で3~7位に位置づけられることが多く、これはすごいことだと思います。様々な指標によってランキングされるのでばらつきはありますが、国内約800ある私立大学の中で一桁をキープしています。研究活動が活発なことも要因の一つに違いありません。こういった優れた研究環境や教授陣と一緒に研究できる機会を有効に活用して、自身の成長につなげて欲しいと思います。
東海大学理学部物理学科
教授 喜多 理王 (きた りお)
1999年群馬大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。理化学研究所 基礎化学特別研究員、ドイツ マックス・プランク研究所(高分子) グループリーダーを経て、2005年東海大学理学部物理学科講師。2008年准教授、2014年より現職。Colloid and Polymer Science誌副編集長。日本バイオレオロジー学会理事。高分子物理、熱力学、溶液論を専門とし、ソフトマテリアルを対象に平衡および非平衡状態での物性研究に従事
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター所長を兼務。東海大学発ベンチャー企業「株式会社チューン」代表取締役社長。
Researchmap: https://researchmap.jp/read0122295/?lang=japanese
Scopus Author ID: https://www.scopus.com/authid/detail.uri?authorId=7006395467
最近の主な公刊論文など
工学部機械工学科の落合成行教授と畔津昭彦教授らの研究グループが展開するプロジェクト「ピストンリング周りの燃料とオイル挙動の明確化研究」がこのほど、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2019年度「国際研究開発/コファンド事業/日本―ドイツ研究開発協力事業(CORNET)」に採択されました。この事業は、互いの技術が競合しない分野での日本とドイツ企業等による技術開発やイノベーションにかかわる連携の促進を目指して、NEDOとドイツ産業研究協会連合(AiF)が両国コンソーシアム間の共同研究開発プロジェクトを支援するものです。 東海大学の総合科学技術研究所では、昨年度から学際型の共同研究ユニットとして「メソ領域における流れの可視化による新たな技術の創出」を展開。極小領域にあたるナノレベルから数十センチを超えるマクロレベルまでのさまざまな領域(メソ領域)で生じる物質の流れの解明を目指す研究を展開しており、本グループの研究もその一つとして取り組んでいるものです。
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マイクロ・ナノ研究開発センターのガネシュ・クマール・マニ研究員(工学部精密工学科・槌谷和義教授研究室)が、10月29日に東京都調布市の電気通信大学で開催された「IRAGO Conference 2019」で、ベストポスター賞にあたる「IRAGO-STEM Young Scientist Award」を受賞しました。IRAGO Conferenceは、国内外の研究機関や企業で活躍する研究者や学生が最新の研究動向に触れ、ネットワークをつくる機会として電気通信大学と豊橋工科大学、本学が共同で毎年開催しているものです。ガネシュ研究員は、11月14、15日に静岡県浜松市で開催された「International Symposium on Biomedical Engineering」でも「Young Researchers Award」を受賞しました。
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東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター
イノベーション・ジャパン2019に出展しました
2019年8月29日(木)・30日(金)
東京ビックサイト「イノベーション・ジャパン 2019」(主催:JST他)
「ライフサイエンス」分野にて喜多理王教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)が、ポスターやサンプル等で自身の研究を紹介しました。
研究・産学連携ニュース
2019年06月18日
大学の世界ランキングをテーマにMNTCセミナーを開催しました。
東海大学公式ページ「ニュース」へのリンク 第56回講演会
研究・産学連携ニュース
2019年06月03日
文化社会学部アジア学科の山花京子准教授を中心とする研究グループが、5月27日に本学が所有するアンデス・コレクションをもとに3Dプリンタで複製した楽器の演奏実験を行いました。
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 第55回講演会
2019年5月11日(土) 15:00開始
湘南校舎12号館1階マイクロ・ナノ研究開発センター
・センターの概要について
・メンバーによる研究紹介(自己紹介)
・交流会(意見交換会)