4月21日の日刊ゲンダイに中川草講師の記事が掲載されました。  「新型コロナウイルスは致死率9%のSARSと何が違うのか?」

2020年04月21日

多くの人は新型コロナウイルスを「ちょっと重いインフルエンザ」とイメージしているようだが間違いだ。実は致死率9・6%の「重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス」と同じコロナウイルスで、遺伝子もかなり似ている。どのくらいか? 国立遺伝学研究所博士研究員、ハーバード大学客員研究員などを経て東海大学医学部分子生命科学講師を務める中川草・理学博士に聞いた。

 

「それぞれのウイルスを構成する遺伝子の類似度はおよそ7~9割です。ただし、新型コロナウイルスはSARSウイルスが進化したものではありません。両者は共通する祖先から分岐して別々に進化したウイルスで、親戚のような存在です。お互いを比較して類似度が最も低い遺伝子のひとつがS遺伝子です」

ウイルスの突起を形成しているスパイクタンパク質(Sタンパク質)には、感染先の細胞の表面にある受容体と結合してウイルス外膜と細胞膜の融合を媒介する役割がある。S遺伝子はそのSタンパク質の性格を決めて、それを忠実につくり出す設計図が書かれている。

(続きは日刊ゲンダイ公式ウェブサイトへ)

 


医学部の大友助教らが神経細胞の新たな培養方法を提案しました(東海大Webより)

2020年04月21日

医学部医学科基礎医学系分子生命科学の大友麻子助教と中川草講師、上田真保子奨励研究員(いずれもマイクロ・ナノ研究開発センター兼務)らが、溝加工を施した高分子超薄膜を使って神経細胞を培養する新たな手法を提案。その成果をまとめた論文「Efficient differentiation and polarization of primary cultured neurons on poly(lactic acid) scaffolds with microgrooved structures」が、学術雑誌『Scientific Reports』印刷版に掲載されました。

超高齢社会を迎え、国内では加齢に伴って発症リスクが高まるアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の患者が増えていますが、効果的な治療法が見つかっていないのが現状です。こうした疾病のメカニズムを解明し、薬剤を開発するためには人工的に培養した神経細胞が用いられていますが、培養神経細胞は実験ごとに状態がばらつきやすく、均一な条件での研究や、薬剤の作用を定量的に測定することが難しい場合があります。

大友助教らのグループは、工学部応用化学科の岡村陽介教授(マイクロ・ナノ研究開発センター兼任)、東京工業大学藤枝俊宣講師、ならびに早稲田大学理工学術院武岡真司教授らよって開発されたポリ乳酸(PLA)を材料として作製したナノシートを培養基材として使用しました。ナノシートは現在までに、創傷被覆材や顕微鏡観察の際のカバーガラスの代替品としてなどさまざまな用途で使用され、注目されています。このナノシートに立体的な溝加工を施したものと、加工しなかったものを細胞基材として使って、マウスの大脳新皮質由来の神経細胞を培養。オールインワン蛍光顕微鏡や次世代シークエンサーを用いて細胞形態と遺伝子発現解析を行った結果、溝加工のないものでは神経突起がランダムに進展する一方、溝加工を施したナノシートでは神経突起の進展方向が一定に制御されるだけでなく、シナプスの形成にかかわる遺伝子群の発現が早まることを明らかにしました。これまでの研究でも培養基材の形態が神経細胞の形態形成や遺伝子発現パターンに影響を与えることは示唆されていましたが、細胞分化の促進や培養細胞の均一性に大きな役割を果たすことを明らかにしたのは本論文が初めてです。

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医学部の中川草講師らの「新型コロナウイルスの比較ウイルス学と比較ゲノム解析」に関する特別記事が『実験医学』に掲載されました

2020年04月21日

医学部医学科基礎医学系分子生命科学の中川草講師(総合医学研究所/マイクロ・ナノ研究開発センター)と京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授による「新型コロナウイルスSARS-CoV-2の比較ウイルス学と比較ゲノム解析」と題した特別記事が、『実験医学』5月号(羊土社)と同オンライン版に掲載されました。ゲノム科学やバイオインフォマテフィクスが専門の中川講師は、ウイルスと宿主の共進化などについて研究しています。この記事は同社から依頼を受けて寄稿したもので、新型コロナウイルスSARS-CoV-2のウイルス学的な位置づけや性状、ゲノム構造と突然変異などについて、これまで多くの科学者により発表された研究成果をもとに、比較ウイルス・ゲノム学的な視点から概括しています。

中川講師は、「動物やヒトに感染するコロナウイルスは、知られているだけで100種以上あります。SARS-CoV-2にはセンザンコウやコウモリに似た塩基配列が認められており、全く未知のウイルスというわけではありません。ウイルス学の研究者の中には、“ウイルスによる新たなアウトブレイクはいつか起こりうる”という危機感を持ち、さまざまな動物からコロナウイルスなどの新規ウイルスを同定するなどの研究を積み重ねてきた方々がいます。その成果がSARS-CoV-2の分析や同ウイルスによる感染症の診断・治療法の開発にも生かされつつあります。新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大の状況や対策といった疫学的な視点からの情報は数多く提供されていますが、一方でウイルスそのものの性質については日本語でアクセスできる文献が限られていたように思えたので、関連の研究を含めてぜひ多くの人に知ってほしいと思いました」と寄稿した理由を語ります。

「ウイルスは太古の昔からヒトを含めたさまざまな生物に感染し、“いたちごっこ”のように共進化を続けてきました。そして、ときにはウイルスの配列の一部は生物の遺伝子に組み込まれ、生物の多様な機能を担う原動力となることも知られています。今後も、ウイルス感染で組み込まれた遺伝子によりヒトが獲得した機能や免疫機構の変化、ウイルスの多様性などに着目しながら比較ゲノム学的なアプローチによる研究を続け、将来的には感染症の予防や診断・治療といった臨床応用にもつなげたい」と話しています。

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※『実験医学』オンライン版に掲載された記事はこちらからご覧いただけます。
なお、「羊土社HP会員」の登録が必要です(無料)。
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/special/SARS-CoV-2.html

工学部の葛巻教授の研究グループがAMEDの橋渡し研究戦略的推進プログラムに採択されました(東海大Webより)

2020年04月20日

工学部材料科学科の葛巻徹教授らのグループによる研究プロジェクト「腱形成メカニズムの解明による生体組織由来の再生人工靱帯の創製」が3月17日に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「橋渡し研究戦略的推進プログラム」の令和2年度橋渡し研究異分野融合型研究シーズに採択されました。このプログラムは、優れた基礎研究の成果を臨床研究・実用化へ効果的に橋渡しできる体制を構築し、革新的な医薬品や医療機器等の創出を推進することが目的です。今回採択されたのは、その一環として首都圏の私立大学をはじめとする臨床研究機関が結成している首都圏ARコンソーシアム「MARC」が展開しているもの。医学部を有する大学に所属する研究者のうち、医学部以外に所属する研究者が中心となって展開するプロジェクトを支援することで日本発の革新的な医薬品・医療機器の開発を目指しています。

人をはじめとする動物の靱帯は体の運動機能を支える重要な役割を果たしていますが、一度損傷すると元のように再生できません。そのため、体の他の場所から持ってきた靱帯を移植する方法が用いられていますが、移植元の場所にも負荷を与えることになる欠点があります。葛巻教授らは、そうした課題を解決するため、靱帯再生のメカニズムを総合的に解明し、生体組織を使って人工靱帯を作成する技術の研究を展開。本学の総合科学技術研究機構によるプロジェクト研究の支援などを受けながら、医学部や理学部、農学部のほか、金沢大学や福井医療大学の研究者らと共同で進めています。

これまでの研究では、靱帯の原料となる分泌組織を生体「腱」から採取し一定の力をかけるとコラーゲン線維の架橋・成長が促進されコラーゲン線維が一方向に配列することを明らかにするとともに、コラーゲン産生細胞の特定とコラーゲン生成のメカニズムや腱から分泌される組織の構造・成分などを分析してきました。今回採択されたプロジェクトでは研究をさらに進展させ、分泌組織をシャーレ上で培養することや、3Dプリンティング技術を使ってヒト線維芽細胞集合体(スフェロイド)を円筒型に積層した構造体を作製し、テンションをかけながら培養した際の作用を調べる計画です。

葛巻教授は、「断裂した腱・靱帯の自己再生に関する研究と、生体内から取り出した分泌組織や細胞をもとに人工的に培養・成長させて人工靱帯を作る研究の両面から再生医療にチャレンジしています。腱・靱帯損傷治療に大きな可能性が開けている一方、組織の強さや成熟度などヒトへの応用に求められる適切な組織をどう設定するのか等、取り組むべき課題は多く残されています。今回取り組む実験は、様々な場面で形成されるコラーゲン線維組織の特徴を解明し再生メカニズムへの理解をさらに深め、研究を次のステップに引き上げる上でも非常に重要になると考えています。靱帯の再生が可能になれば、多くの人の健康で活力ある生活の維持に役立つことは間違いありません。今後もさまざまな分野の専門家と連携しつつ、技術の実用化を目指していきたい」と話しています。

 

葛巻 徹教授                           独自開発した牽引培養装置

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ガネシュ特定研究員らの研究グループが画期的な熱中症センサを開発しました(東海大Webより)

2020年04月15日

マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)では、ガネシュ・クマール・マニ外国人特別研究員(日本学術振興会)と槌谷和義教授(工学部精密工学科)の研究グループがこのほど、熱中症の予防や診断に活用できる画期的なセンサを開発。その成果をまとめた論文「Advanced Artificial Electronic Skin Based pH Sensing System for Heatstroke Detection」が、アメリカ化学会の学術誌『ACS SENSOR』オンライン版に3月11日付で掲載されました。

熱中症は、体温の上昇に伴って体内の水分量が減り、めまいやけいれんなどを発症する病気です。気候変動の影響で世界的に年々罹患者が増え、日本をはじめ高齢化が進んでいる国では社会問題になっています。脱水症状を起こすと汗のpH値が変化することから、各地でそのpH値を測るセンサ開発が進められていますが、電源が必要になったり、センサが大型になってしまったりといった課題がありました。

ガネシュ研究員らの開発した物理センサは、皮膚に直接貼れて、外部電源を用いずにリアルタイムで正確にpH値を測れます。手の甲に貼れるサイズの高分子超薄膜(ナノシート)上に、アンチモンおよび三酸化アンチモン、ヨウ素酸銀を積層した2つの電極を取り付け、電極間で生じる微弱な電位差を利用して計測できる構造で、ナノシートは粘着剤などが一切使われていないことから肌にも優しく、繰り返し使うことができるのも特徴です。

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4月15日の日刊ゲンダイに中川草講師の記事が掲載されました。

「緊急企画 新型コロナを正しく恐れる 新進気鋭ゲノム学者語る 人間からネコやトラに感染した意味」

2020年04月15日

ネコに続いて今月上旬には米国ニューヨークの動物園でトラに新型コロナウイルスの陽性反応が出たという。人間以外の動物に感染が広がっていることを不気味に思う人もいるのではないか。

イヌやネコなどそれぞれの生物種ごとに感染できるコロナウイルスが決まっている。なぜ新型コロナウイルスは種を超えて感染拡大したのか? 国立遺伝学研究所博士研究員、ハーバード大学客員研究員などを経て東海大学医学部分子生命科学講師を務める中川草理学博士に聞いた。

「ウイルスは遺伝子構造の違いによりDNAウイルスとRNAウイルスに大別されます。コロナウイルスはRNAウイルスで、RNAの塩基配列に遺伝情報を格納しています。ウイルスは単位時間当たりの遺伝子に蓄積される変異の数、すなわち進化速度が非常に速いことが知られています。新型コロナウイルスもその例外ではなく、人間の核ゲノムのDNAと比べておよそ100万倍も速いです。そのため、今回の新型コロナウイルスが、短期間で変異してネコやトラに感染できるようになったと思っている人もいるかもしれません。しかし、それは間違いです」

(続きは日刊ゲンダイ公式ウェブサイトへ)

 

↑上記に紹介しました記事について中川講師から補足コメントがございます。

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文字数の関係で細かい話ができていないので、ネコで新型コロナウイルスが「空気感染」する可能性と、ネコが新型コロナウイルスの中間宿主ではない可能性について、下に更に詳細記します。4月8日にオンライン公開された米国サイエンス誌に掲載された中国のハルビン獣医学研究所からの論文(https://science.sciencemag.org/content/early/2020/04/07/science.abb7015)では「空気感染」という言葉が確かに使われています。ただし、この実験では、高濃度の新型コロナウイルスを猫に噴霧して感染させた実験のため、そもそもの濃度が高かった可能性も他の研究者から指摘されています(https://www.nature.com/articles/d41586-020-00984-8)ので、「空気感染」はあくまでも実験室レベルでの話です。今後他の研究グループからの追試が待たれるところです。また、それではネコが原因で今回の新型コロナウイルスが広まったかもと考える人がいるかもしれません。プレプリント(査読前の論文)の報告ですが、武漢に生息する猫の抗体検査が大規模に調べた研究成果があります(https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.04.01.021196v1)。その結果、新型コロナウイルスの流行以後にサンプリングを行った猫には抗体があった、つまり猫の一部は新型コロナウイルスに感染していたと考えれれるが、それ以前の武漢で採取された猫の血液からは抗体は検出されませんでした。つまり、猫の集団中にもともとウイルスがあったわけではないと示唆されています。この結果から、猫が媒体となって新型コロナウイルスを人に感染させたのではなくて、人から猫に感染した可能性が高いと考えられます。2020年4月15日 中川追記

創薬研究に貢献する分析機器「BioStation CT for MPS」を開発しました(東海大Webより)

2020年04月06日

工学部機械工学科の木村啓志准教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)が株式会社ニコンなどと共同で、創薬研究に貢献する新たな分析機器「BioStation CT for MPS」を開発。3月18日に湘南キャンパスにあるイメージング研究開発センターで、機器の利用説明会を開催しました。

この分析機器は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が展開している「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)」の一環として開発されたものです。同事業は、マイクロ流体デバイス技術を活用して、これまでにない画期的な細胞培養モデル(Microphysiological system: MPS)を構築し、動物実験に頼らずに医薬候補品の安全性や効果などを評価できる新たな創薬基盤の開発を目指しています。全国の大学・企業からなる16チームで構成されており、木村准教授は「創薬における高次in vitro評価系としてのKidney-on-a-chipの開発」の研究開発代表者を務めています。

木村准教授の研究室では、3年前から腎臓内科医の南学正臣教授(東京大学)や、藤井輝夫教授(同)、ニコンなどと共同で、腎臓の機能を再現するモデルデバイスの開発と評価方法の構築に向けた研究に取り組んでいます。体に不要な物質を排出する尿を作る重要な働きを持っている腎臓の中でも、血液から不要物を取り除いて原尿を作る糸球体と、原尿内の水分と栄養素を再吸収する尿細管の機能を人工的に再現したマイクロ流体デバイスを開発。ニコンが販売している細胞培養観察装置「BioStation CT」をベースにデバイス内で起きるさまざまな現象を24時間自動で観察できる観察システムを構築しました。これによって、さまざまな条件下で、生体内の血流を模した流体による機械的な刺激を細胞に与えたときの変化や医薬候補品投与前後の変化を細胞レベルで経時的に追うことができるようになりました。

本学公式ウェブサイト記事はこちら

羊土社実験医学のwebsiteにて、「新型コロナウイルスSARS-CoV-2の比較ウイルス学と比較ゲノム解析」が先行公開されました。

「実験医学」2020年5月号(4月20日発行)では,京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸先生,東海大学医学部分子生命科学の中川 草先生に,新型コロナウイルスSARS-CoV-2の最新の科学的知見につき特別記事をご執筆いただきました.日々新たな論文(プレプリントを含む)が発表されるなか,私たち編集部も一刻も早く情報をお届けすべきと考え,このたび掲載号発行に先んじてWebにて記事を先行公開いたします.

「実験医学」編集部より

公式サイトはこちらhttps://www.yodosha.co.jp/(閲覧には無料の登録が必要です)

連載 研究者インタビュー Vol.5 岡村 陽介

ありきたりなプラスチックから革新的なナノ材料をつくる

~ナノ寸法にならではのユニークな特性を引き出す~

東海大学工学部応用化学科 教授          
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 所員

岡村 陽介   インタビュー岡村陽介.pdf

(2020年4月3日掲載, 聞き手 高橋・藤原)

―これまでの研究内容を教えてください。

私の専門は、高分子化学・ナノ材料工学です。高分子というより、プラスチックといったほうがイメージしやすいでしょうか?世の中には、汎用的に広く利用される高分子、生体や環境にやさしい高分子(生体適合性・生分解性高分子)にあふれています。私の研究室では、これら高分子からなる一群の2次元ナノ材料(ナノシート・ナノディスク・ナノリボンなど)を独創的かつ簡便な手法で創製する技術を研究開発しています。これを基盤技術とし、人類の健康や医療、環境に役立つ研究につなげることを目標に掲げています[文献1] 。

学生時代、恩師の武岡真司教授(早稲田大学先進理工学部)のもとで、生体に存在する高分子(タンパク質)や脂質の集合体からなる血中投与可能なナノ粒子を開発してきました。特に、ナノ粒子に止血能を付与する、いわば止血に関与する血小板という細胞を人工的につくるテーマでした[文献2-4] 。非常に挑戦的なテーマでもあり、毎日楽しく研究することができました。人工血小板のプロトタイプが完成した次の段階として、血小板のような円盤状の粒子をつくろう、という展開を図りました。後輩の藤枝君(現東京工業大学 講師)とともに、基板の上に微細な加工を施してドット状のパターンを描き、素材となる高分子をドット部分だけに塗ることで、円盤構造を得る計画でした。しかし、ある時、ほとんど目に見えない薄い物体が基板全体から剥がれました。実はこれがナノ薄膜です。ナノ薄膜は失敗から生まれたナノ材料なんです。私はポリ乳酸という生分解性プラスチックからなるナノ薄膜を初めて創製し、胃を縫う代わりに貼って治す医用応用例を発信しました[文献5] 。

2009年から3年間、ドイツのボン大学生命医科学研究所(Thorsten Lang研究室)に留学しました。指導を受けたLang教授は、生物物理・顕微鏡イメージングが専門で、神経細胞や血液細胞のイメージング技術、画像解析技術を学びました[文献6,7]。これまでモノづくりが専門でしたので、異分野に飛び込んだことになります。留学当初は正直不安もありましたが、丁寧に指導して頂くことができ、本当に貴重な経験でした。その一方で、ノウハウに依存したイメージングに関する課題を実感したのもこの時でした。これをモノづくりの立場で解決したい、という思いが現在の研究にも繋がっています[文献8-10] 。

2012年から東海大学に着任し、現在に至ります。これまでの知見をベースに、上述したように新しい2次元ナノ材料(ナノシート・ナノディスク・ナノリボンなど)を開発しています。いずれも面をもつユニークな形状を有していることから、いろいろな界面と2次的に面接触できる相互作用(高い接着性)が生まれます。これを基盤技術とし、工学的なアプローチで、医学、光学、香粧品学の研究領域との融合を図っています。これまで、臓器縫合術の代替、感染防止材、止血材、骨再生治療、薬物運搬体、診断材料などの応用例を提案しています[文献11-18] 。

-マイクロ・ナノ研究開発センターでの活動について教えてください。

2014年から5年間、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「高分子超薄膜から創成する次世代医用技術」の採択を受けて設立された「マイクロ・ナノ研究開発センター」では、超薄膜を“創る”チームのリーダーとして、各学部学科の先生達との共同研究を行ってきました。現在は、医理工融合マテリアル研究チームのリーダーを務めております。センターはまさに異分野融合拠点であるので、マテリアルをベースに連携、共同研究を推進していければと思います。

-研究のモチベーションは何ですか??

ありきたりですが、モノづくり屋としての私の研究のモチベーションは、誰かが必要というものを作って、世の中に出したいという思いです。難しい製法で、ごく微量しか作れない特効薬のような素材もいいですが、私は、簡単で誰にでも作れるものを開発したい。「簡単だとまねされるよ」と忠告されたこともありますが、まねされてもいいんです。誰でも同じように作れてこそ、世の中に広がるからです。研究は、予想通りにいくことはほとんどなく、紆余曲折した末に、ようやくゴールにたどりつきます。後から振り返れば、なぜ「最短距離」の道が分からなかったのだろうかと思いますが、一定の目標に達した時の達成感はたまらないですね。

-学生の皆さんへメッセージをお願いします。

一見独立したようにみえる学問を「線」に繋げて見ると楽しくなります。それが研究です。私の専門の化学でいうと、有機化学・無機化学・物理化学の分野に大別されます。学部3年生までは、各々の講義科目名で履修し、勉強します。各々の分野を学ぶことはとても重要ですが、教科書が分かれているせいか、独立した学問のように錯覚してしまう。いわゆる「点」で終わってしまいかねません。研究をスタートした皆さんは既に感じていると思いますが、研究に分野は関係ありません。「点」を「線」に繋げたからこそ見えてくるものや考え方があります。このつながった瞬間が面白い。さらに、化学以外の異分野との融合研究は、2次元の「線」が3次元に繋がるからまたまたたまらない。日々勉強だと思います。当たり前に使っている身近なものや身近に起こる現象を、なんでだろう?と不思議に感じ、わからなければ調べる、試してみる。それが新しい発想に繋がるし、人生が楽しくなる。一度きりの人生ですから、楽しく面白く生きたい。私はそう感じています。

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工学部応用化学科 教授 岡村 陽介 (おかむら ようすけ)

2006年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了、博士(工学)。日本学術振興会特別研究員、ボン大学生命医科学研究所 フンボルト財団研究員・日本学術振興会海外特別研究員を経て、2012年東海大学創造科学技術研究機構講師。2015年東海大学工学部応用化学科准教授、2020年より現職。2014年科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞、その他計9件の受賞。高分子化学、生体材料学、ナノ材料工学を専門とし、2次元ナノ材料の創製と医工学応用展開に関する研究に従事。

Researchmap: https://researchmap.jp/y_okamura

Scopus Author ID: https://www.scopus.com/authid/detail.uri?authorId=57211875055

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最近の公刊論文など(抜粋) 岡村 陽介

  1. 岡村研究室HP:  https://sites.google.com/view/okamuralab/
  2. Y. Okamura, S. Takeoka, K. Eto, I. Maekawa, T. Fujie, H. Maruyama, Y. Ikeda and M. Handa*, “Development of fibrinogen g-chain peptide-coated, adenosine diphosphate-encapsulated liposomes as a synthetic platelet substitute”, J. Thromb. Haemost. 7, 470-477 (2009). Wiley PDF
  3. Y. Okamura, S. Katsuno, H. Suzuki, H. Maruyama, M. Handa, Y. Ikeda and S. Takeoka*, “Release properties of adenosine diphosphate from phospholipid vesicles with different membrane flexibilities and their hemostatic effects as a platelet substitute” J. Control. Release 148, 373-379 (2010). ScienceDirect (PDF関係者のみ)
  4. Y. Okamura, Y. Fukui, K. Kabata, H. Suzuki, M. Handa, Y. Ikeda and S. Takeoka*, “Novel platelet substitutes: disk-shaped biodegradable nanosheets and their enhanced effects on platelet aggregation”, Bioconjug. Chem. 20, 1958-1965 (2009). ACS (PDF関係者のみ)
  5. Y. Okamura, K. Kabata, M. Kinoshita, D. Saitoh and S. Takeoka*, “Free-standing biodegradable poly(lactic acid) nanosheet for sealing operations in surgery”, Adv. Mater. 21, 4388-4392 (2009).Wiley
  6. Y. Okamura, R. Schmidt, I. Raschke, M. Hintiz, S. Takeoka, A. Egner and T. Lang*, “A few immobilized thrombins are sufficient for platelet spreading”, Biophys. J. 100, 1855-1863 (2011). BiophysicalJournal PDF
  7. D. Aquino, A. Schönle, C. Geisler, C.V. Middendorff, C.A. Wurm, Y. Okamura, T. Lang, S.W. Hell* and A. Egner*, “Two-color nanoscopy of three-dimensional volumes by 4Pi detection of stochastically switched fluorophores”, Nat. Methods 8, 353-359 (2011). NatureMethods PDF
  8. H. Zhang, A. Masuda, R. Kawakami, K. Yarinome, R. Saito, Y. Nagase, T. Nemoto and Y. Okamura*, “Fluoropolymer nanosheet as a wrapping mount for high quality tissue imaging”, Adv. Mater. 29, 1703139 (2017). https://doi.org/10.1002/adma.201703139 PDF(関係者のみ)
  9. H. Zhang, T. Aoki, K. Hatano, K. Kabayama, M. Nakagawa, K. Fukase and Y. Okamura*, “Porous nanosheet wrapping for live imaging of suspension cells”, J. Mater. Chem. B. 6, 6622-6628 (2018). doi.org/10.1039/C8TB01943F PDF(関係者のみ)  岡村准教授、張研究員の研究グループの論文が国際ジャーナル「Journal of Materials Chemistry BHot Papersに選ばれました
  10. H. Zhang, K. Yarinome, R. Kawakami, K. Otomo, T. Nemoto and Y. Okamura*, “Nanosheet wrapping-assisted coverslip-free imaging for looking deeper into a tissue at high resolution”, PLoS ONE 15, e0227650 (2020). PLOS ONE PDF
  11. Y. Okamura*, K. Kabata, M. Kinoshita, H. Miyazaki, A. Saito, T. Fujie, T. Ohtsubo, D. Saitoh and S. Takeoka*, “Fragmentation of poly(lactic acid) nanosheets and patchwork treatment for burn wounds”, Adv. Mater. 25, 545-551 (2013). Wiley (PDF関係者のみ)
  12. Y. Okamura, Y. Nagase and S. Takeoka*, “Patchwork coating of fragmented ultra-thin films and their biomedical applications in burn therapy and antithrombotic coating”, Materials 8, 7604-7614 (2015). Ncbi PDF
  13. T. Komachi, H. Sumiyoshi, Y. Inagaki, S. Takeoka, Y. Nagase and Y. Okamura*, “Adhesive and robust multilayered poly(lactic acid) nanosheets for hemostatic dressing in liver injury model”, J. Biomed. Mater. Res. B: Appl. Biomater. 105, 1747-1757 (2017). Wiley (PDF関係者のみ)
  14. K.C. Huang, F. Yano, Y. Murahashi, S. Takano, Y. Kitaura, S.H. Chang, S.W.N. Ueng, S. Tanaka, K. Ishihara, Y. Okamura*, T. Moro* and T. Saito*, “Sandwich-type PLLA-nanosheets loaded with BMP-2 induce bone regeneration in critical-sized mousecalvarial defects”, Acta Biomater. 59, 12-20 (2017). https://doi.org/10.1016/j.actbio.2017.06.041 PDF(関係者のみ)
  15. H. Zhang and Y. Okamura*, “Elongated phase separation domains in spin-cast polymer blend thin films characterized with a panoramic image”, Soft Matt. 14, 1050-1055 (2018). https://doi.org/10.1039/C7SM02144E PDF(関係者のみ)
  16. Y. Murahashi, F. Yano, H. Nakamoto, Y. Maenohara, K. Iba, T. Yamashita,, S. Tanaka, K. Ishihara, Y. Okamura*, T. Moro* and T. Saito*, “Multi-layered PLLA-nanosheets loaded with FGF-2 induce robust bone regeneration with controlled release in critical-sized mouse femoral defects”, Acta Biomater. 85, 172-179 (2019). doi.org/10.1016/j.actbio.2018.12.031 PDF(関係者のみ)
  17. W. Tuntanatewin, K. Tani, K. Ishikura, H. Zhang and Y. Okamura*, “One-pot fabrication of polymer micro/nano-discs via phase separation and a roll-to-roll coating process”, Colloids Surf. A 586, 124274 (2020). https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0927775719312695 (PDF関係者のみ)
  18. H. Zhang, D. Sakagami, W. Huang, H. Kimura and Y. Okamura*, “Measurement and modelling of tensile moduli of polymer blend thin films with phase separated structures” Polymer 190, 122233 (2020). https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0032386120300756 (PDF関係者のみ)

連載 研究者インタビュー Vol.4 中川 草

分野融合ヘルスケア研究を促進する大規模DNA・RNA情報解析

東海大学医学部医学科 講師
東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター 所員

中川 草 インタビュー中川草.pdf

(2020年4月2日掲載, 聞き手 高橋)

―これまでの研究内容を教えてください。

私はウイルス、細菌といった微生物から、我々ヒトを含めた動物まで、様々な生物のゲノム・遺伝情報の解析を行っています。特に、大規模塩基配列を活用した分子進化・比較ゲノム研究に関しては、2017年に日本進化学会の研究奨励賞を受賞しました。

2008年から2011年には国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ 研究センター(五條堀孝研究室)に博士研究員として在籍し、原核生物(細菌・古細菌)の蛋白質の翻訳開始メカニズムの進化を大規模な比較ゲノム解析によって明らかにしました(業績1。2011年から2013年に米国ハーバード大学 進化生物学科(Daniel Hartl 研究室)に客員研究員として在籍し (日本学術振興会特別研究員)、多重遺伝子族のフォークヘッド型転写因子(Fox 遺伝子)について、その起源と配列の進化、そして結合するDNA配列の変化について大規模な比較ゲノム解析によって明らかにしました(業績2)。 本研究成果はScience 誌の Editors’ Choice でも紹介されました。

2013年から現在の所属先に移動し、 宿主ゲノムに内在化したウイルス配列(EVE)関する研究を本格的に開始しました。ウシのゲノムに内在化したレトロウイルス由来の配列が胎盤発生に関与することを発見しました(業績3-5)。更に、それらのウイルスに由来する遺伝子の進化モデルについて、重複遺伝子の進化モデルと比較して、「バトンパス仮説」というモデルを発表しました(業績6)。EVEに関するデータベースを開発・運用しています(業績7, http://geve.med.u-tokai.ac.jp; 業績8,  http://peve.med.u-tokai.ac.jp)。加えて、ウイルスと宿主の進化解析も行っていて、エボラウイルスの感染効率上昇に関わる突然変異について、大規模塩基配列を活用した正の淘汰解析から明らかにしました(業績9,10)。現在パンデミックになっているコロナウイルスに関しても研究を開始しました(業績11)。

-マイクロ・ナノ研究開発センターでの活動について教えてください。

大規模塩基配列を活用したさまざまな解析を行っています。医理工融合メディカル研究チームの大友先生、医理工融合マテリアル研究チームの岡村先生らと共同して、マウス神経細胞を溝加工したナノシート上で培養させると分化誘導がうまくすすむことを発見しました(業績12)。加えて、医理工融合メディカル研究チームの三橋先生らと共同して、ナノポア技術を元にしたDNAシークエンサーMinIONを活用した様々な研究などにも取り組んでいます(業績13-15)。

-研究のモチベーションは何ですか??

私は生命の起源や進化に興味があります。現在、主な研究対象としているウイルスは、生命と非生命の境界領域に存在していて、その存在や振る舞いが非常に興味深いです。注意してほしいのですが、ウイルスはコロナウイルス、インフルエンザウイルスなど、病気を引き起こすイメージがあると思いますが、ほとんどのウイルスは病気とは関係がありません。そういった病気とも関係ないウイルスについても、環境や生体でさまざまな機能を担っていることがわかってきています。そういったところに興味があります。また、私の研究は自身で完結することが少ないので、様々な共同研究者の方々と協力して行うことが多いです。そのような共同研究者の方々、このマイクロ・ナノ研究開発センターの方含めてですが、素晴らしい方々が多く、いつも教わるところも多く、いろいろな刺激になります。

-社会に役立つイノベーションとは。

これはなかなか難しい質問ですね。私は最近大規模メタゲノムシークエンスデータからのウイルス同定ということに取り組んでいます(業績16, 17)。主にほ乳類や鳥類を対象としているのですが、これがなかなか医学研究に直接役立つとは思われません。ただ、2019年末から始まった新型コロナウイルスなどが典型例ですが、いま感染症分野で恐れられているものは、ほとんどがほ乳類や鳥類が日和見的に感染しているウイルスが元になって起こります。新型コロナウイルスについても、コウモリやセンザンコウといった生き物から見つかったウイルスが類似していて、おそらく起源となったであろうと考えられています。コウモリやセンザンコウでみつかったウイルス配列が新型コロナウイルスの性状解析にも役立つと考えられています。このように、大学では一般企業とは異なり、一見すると遠回りかもしれませんが、なにかの機会に役に立つような研究を積み上げておくことも重要なイノベーションにつながるのではないかと考えています。

-学生の皆さんへメッセージをお願いします。

自分の好きなこと、そして得意なことをぜひ見つけられたらと思います。そして、社会との接点を意識しつつ、その見つけたことに邁進してください。全部を自分で抱え込んで行う必要はないので、いい仲間も見つけるもの重要です。これは研究に限らず、さまざまな分野に進んだときも、同じように大切だと思っています。

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医学部医学科 講師 中川 草 (なかがわ そう)

2008年 東京医科歯科大学 大学院生命情報科学教育部 博士後期課程修了、博士(理学)。国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センター 博士研究員、ハーバード大学 客員研究員を経て、2013年より東海大学医学部 分子生命科学 助教、2018年より講師(現職)。

専門は比較ゲノム解析。ウイルス、細菌から哺乳類までを研究の対象としてゲノム・トランスクリプトーム解析に取り組む日々。

Researchmap: https://researchmap.jp/sounaka

Scopus Author ID: 12143870400

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業績:公刊論文など(抜粋) 中川 草

(*は責任著者、†は共同筆頭著者、研究代表者と分担者を下線で示した、全て査読あり)

  1. Nakagawa S et al. Dynamic evolution of translation initiation mechanisms in prokaryotes.      Proc Natl Acad Sci U S A. 107(14):6382-7. 2010 PNAS PDF
  2. Nakagawa S et al. DNA-binding specificity changes in the evolution of forkhead transcription factors. Proc Natl Acad Sci U S A. 110(30):12349-54. 2013 ResearchGate PDF
  3.  Nakagawa S et al. Dynamic evolution of endogenous retrovirus-derived genes expressed in bovine conceptuses during the period of placentation. Genome Biol Evol. 5(2):296-306. 2013 https://academic.oup.com/gbe/article/5/2/296/559744 PDF
  4. Nakaya, Y. et al. (著者5人中、中川3番目) Fematrin-1 is involved in fetomaternal cell-to-cell fusion in Bovinae placenta and contributed to diversity of ruminant placentation. J Virol.  87(19):10563-72. 2013 ResearchGate PDF
  5. Sakurai T (著者12名中、中川2番目) Novel endogenous retrovirus-derived transcript expressed in the bovine placenta is regulated by WNT signaling. Biochem J. 474(20):3499-3512. 2017 https://doi.org/10.1042/BCJ20170531 PDF
  6. Imakawa K*, Nakagawa S, Miyazawa T. Baton pass hypothesis: Successive incorporation of unconserved endogenous retroviral genes for placentation during mammalian evolution. Genes Cells. 20, 771-788. 2015 (総説) Wiley
  7. Nakagawa S* and Takahashi MU. gEVE: a genome-based endogenous viral element database provides comprehensive viral protein-coding sequences in mammalian genomes. Database (Oxford). 2016: baw087. 2016 https://doi.org/10.1093/database/baw087
  8. Kryukov K et al. (著者5人中、中川*5番目) Systematic survey of non-retroviral virus-like elements in eukaryotic genomes. Virus Res. 262:30-36. 2019  ScienceDirect PDF(関係者のみ)
  9. Ueda MT et al. (著者9名中、中川*9番目) Functional mutations in spike glycoprotein of Zaire ebolavirus associated with an increase in infection efficiency. Genes Cells. 22(2):148-159. 2017. Wiley PDF 東海大学公式ウェブサイト2017113
  10. Kurosaki Y et al. (著者7名中、中川*7番目) Different effects of two mutations on the infectivity of Ebola virus glycoprotein in nine mammalian species. J Gen Virol. 99(2):181-186. 2018 Microbiology
  11. 宮沢孝幸、中川草「新型コロナウイルスSARS-CoV-2の比較ウイルス学と比較ゲノム解析」実験医学 38 (8): 1338-1347. 2020 (総説)羊土社実験医学でのWeb先行公開
  12. Otomo A†*, Ueda M† et al. (著者9名中、中川*9番目) Efficient differentiation and polarization of primary cultured neurons on poly(lactic acid) scaffolds with microgrooved structures. Sci Rep, in press. 2020 Biorxiv PDF
  13. Mitsuhashi S†, Kryukov K†, Nakagawa S† et al. A portable system for rapid bacterial composition analysis using a nanopore-based sequencer and laptop computer. Sci Rep.  7(1):5657. 2017 Scientific Reports PDF
  14. Mitsuhashi S et al. (著者6名中、中川2番目) Nanopore-based single molecule sequencing of the D4Z4 array responsible for facioscapulohumeral muscular dystrophy. Sci Rep, 7: 14789. 2017.Scientific Reports PDF
  15. Nakagawa S et al Rapid sequencing-based diagnosis of infectious bacterial species from    meningitis patients in Zambia. Clin Transl Immunol. 8: e1087. 2019 Ncbi PDF
  16. Sakaguchi S et al. (著者13名中、中川2番目) Molecular characterization of feline paramyxovirus in Japanese cat populations. Arch Virol. 165(2): 413-418. 2020 Springer
  17. Mukai et al. (著者11名中、中川4番目) Identification of a distinct lineage of aviadenovirus from crane feces. Virus Genes. 55(6): 815-824. 2019 Springer PDF(関係者のみ)